ランチェスター法則が儲けを生み出す!

あなたの会社の経営を軌道に乗せるには、戦略がとても重要になります。
しかも、社長の役目がイコール将軍の役目と考えれば、「何をすべきか」も分かります。

しかし、その「何を」を「どうすれば良いか」というやり方の内容は、依然としてはっきりしません。
戦略を勉強するための良い教材というのも、これまたはっきりしません。

そこで、とても参考になるのが「ランチェスター法則」です。

ランチェスター法則を考え出した、イギリス人のフレデリック・ウィリアム・ランチェスターは、28歳から40歳までの12年間、ランチェスター自動車会社の社長をしていました。

数多くの発明を残したランチェスターは、1914年7月28日に勃発した第一次世界大戦に刺激を受け、戦闘時における真の力関係はどのようにして決まるのかということを、自分の研究室でじっくり考えていました。

それから、約2か月あとの10月2日に「ピタゴラスの定理」にヒントを得て、2つの法則を発表しました。これがのちに「競争の法則」と呼ばれるようになったのです。

〈ランチェスター第1法則〉

戦闘時における真の力関係とは、攻撃力を示しています。その攻撃力についての第一法則は次のような式で表されます。

攻撃力 = 兵力数 × 武器性能(質)

もし、武器性能や兵士の能力などの質が変わらなければ、攻撃力は兵力数に比例することになります。第一法則の条件は、まず刀や槍など射程距離が短い兵器を使い、次に敵に接近し、さらに1対1の戦いをしたときだけ成立します。

そのため、攻撃力を最大限に活かすためには、敵に接近して1対1の戦いに有利な状況を考えることになります。武器は刀や槍ですから、相手の性能とはほとんど変わりません。
兵士の能力も全員がずば抜けて良いとは考えられませんので、能力の平均も同じとします。

そうすると、兵士の数が多い軍が有利になります。ですから、少ない兵力で有利に戦うためには、山の険しい所や森が深い所などを戦場に選び、一騎打戦がしやすいような陣を組む必要があります。こうしたことから、第1法則のことを「一騎打戦」の法則とも呼びます。

〈ランチェスター第2法則〉

ランチェスター第2法則は以下のような式で表されます。

攻撃力 = 兵力数? × 武器性能(質)

もし武器性能や兵士の能力などの質が変わらなければ、攻撃力は兵力数の2乗に比例することになります。第2法則の条件は、ライフル銃や機関銃など射程距離が長い兵器を使用し、次に敵味方が離れた状態で戦ったときだけ成立します。

攻撃力を最大限に活かすためには、射程距離が長い兵器が使いやすいよう、見通しが良い平地を戦場に選び、かつ離れて戦いができるような陣を組む必要があります。
こうすると、兵力数が圧倒的にものをいいます。こうしたことから、第2法則のことを「間隔戦の法則」とか「確率戦の法則」とも呼びます。

≪儲けの違いが数字から分かる≫

ランチェスターの第1法則は、攻撃力が兵力数(=あなたの会社の従業員数)に比例し、第2法則は兵力数の2乗に比例する法則だということは分かりました。しかし、これは会社経営をどう関係してくるのでしょうか?
それには、実際に数字を当てはめて、2つの法則の違いをシミュレーションしてみると見えてきます。

〈ランチェスター第1法則のシミュレーション〉

まず始めは、第1法則を応用して経営した場合を考えてみましょう。
第1法則では、ある局面に投入されるA社とB社の営業マンの比が「1対0.5」のとき、経営における力関係もやはり「1対0.5」になります。

★経営力の弱いB社のほうは、「0.5」の営業マンを投入していても、経済的な成果(=利益)はやはり「0.5」と出ますから、効率に損得は生じません。
成果に損得がなければ、努力しただけ報われるので良いやり方になります。

〈ランチェスター第2法則のシミュレーション〉

では次に、第2法則で経営した場合はどうなるでしょうか?
第2法則では、ある局面に投入されるA社とB社の営業マンの比が「1対0.5」のとき、経営における力関係は、2乗比になるので「1対0.25」になります。

★経営力の弱いB社のほうは、「0.5」の営業マンを投入していながら、経済的な成果(=利益)は「0.25」しか出ませんから、効率は50%減少してしまいます。
熱心に経営をしていても、ほんの少ししか純利益が出ない今日の時代にあって、効率が50%も減少すれば大赤字になることは、はっきりしています。

数字が出てきたので、なかには頭が痛くなったという人もいるでしょうが、ここのところはとても重要ですから、もう1つ数字を変えてシミュレーションしてみましょう。

ある局面に投入されるA社とB社の営業マンが「1対0.33(営業マンの比が3分の1)」の場合、第1法則を応用して経営すると真の力関係もやはり「1対0.33」になります。

弱いほうのB社は「0.33」の営業マンを投入して、経済的な成果も「0.33」と出ますから、効率に損得はありません。

次に、第2法則を応用して経営をした場合は、2乗比になるので、A社とB社の経営における力関係は「1対0.11」になります。

経営力の弱いB社のほうは「0.33」の営業マンを投入していながら、経済的な成果は「0.11」しか出ません。経営効率は67%も減少してしまいます。A社との利益の差は「約10倍」にもなってしまいます。

投入力2分の1に対しては4倍の差が、投入力3分の1に対しては10倍の差に広がってしまうのです。

★この2つのシミュレーションから分かるように、力の弱い会社が第2法則を応用して経営すると、不利であることがより不利になってしまいます。

つまり、たとえ同じ人数で経営をした場合でも、「やり方の違い」次第で業績に大きな差が出るのです。

経営においては、特別な対策をとらなかった場合、会社と会社の力関係は2乗比になりますから、すべての戦略を考えるうえで、常に2つの法則に当てはめて効率を考えてください。

≪小さな会社は「弱者の戦略」で勝つ≫

会社における強者と弱者は、どのような条件で分けるのでしょうか?
その中心となるのは「市場占有率」で考えると区別できます。


  1.  1位であること
  2.  自社の活動エリアか県単位で、市場占有率26%以上を押さえていること
  3. 2位との間に10対6以上の差をつけていますいること

以上の条件を満たしている会社だけが「戦略的強者」と呼ばれ、「強者の戦略」が実行できます。しかし、そうした会社は全会社のわずか「0.5%」くらいしか存在していません。

この条件を満たしていない残りの「99.5%」の会社、おそらくあなたの会社も、当然「弱者の戦略」で経営をしなければならないのです。

≪大きな会社だけが使える「強者の戦略」≫

あなたの会社が「弱者の戦略」で計画を立てなければいけないことは分かりましたが、まずは「強者の戦略」について考えてみましょう。あなたにとって「強者の戦略」など関係ないように思えるでしょうが、強者がどのような手を使ってくるかは知っておくべきです。

「強者の戦略」の狙いは、業界で2位以下のすべての会社に2乗作用の圧力を加え続け、将来逆転されないようにすることにあります。


1. 総合1位主義

すでに1位の条件を確立している場合は、類似の商品や近い業種に力を入れて1位の数を多くしていきます。これが総合1位主義です。総合というのは強者だけが使える理論ですから、小さな会社やこれから起業する人は総合で戦略を立ててはいけません。

2. 量の重視

自社が取り扱っている商品の中で、販売量が多い商品にはより多くの力を入れ、競争相手の売上が上がらないようにします。
営業地域では東京、神奈川、大阪、名古屋など人口が多い都市には特別に力を入れます。
営業では営業マンの人数を多くし、小売業では売場面積を思い切って広く取ります。

3. 複合戦の実行

商品の種類が少ないと、盲点が生じて弱者がつけ込んでくる恐れがありますから、自社の主力商品を大中小何種類も作って複合化し、弱い部分を作らないようにします。
卑近な例では、トヨタは複合戦を実行し、多くの車種を作っています。

4. 広域営業

営業する地域は大都市だけに限らず、東北一円、関東一円、近畿一円、九州一円というように、広い地域で展開していきます。つまり選挙でいえば、「全国区型」です。
こうすると、盲点となる地域が少なくなるので、弱者が強くなることを防げるのです。

5. 間接的営業の実行

メーカーなら間に卸を入れて間接販売をするとともに、テレビ広告や新聞広告を積極的に使って商品の認知度を高めます。

6. 重装備の実行

資金調達力を背景に会社の装備を厚くしていきます。たとえば、メーカーの場合は、生産設備に多くの資金をかけたり事務所を自社ビルにしたりします。

7. 即応戦の実行

2位以下の会社が今までになかった商品を作ったら、すぐに同じ商品を作ります。
また、今までにない営業のやり方をしたら、すぐ同じやり方の営業をして競争条件を同質化します。

質が同じになると、量の多いほうが必ず有利になります。他社のマネができるのは強者に限られますから、小さい会社は決して強い会社のマネをしてはいけません。


以上が「強者の戦略」の中心概念になります。

この戦略を実行することで、よりはっきりと2乗作用が生じるので、この力を利用して2位以下の会社に圧力をかけていくのです。

あなたの業界で1位の会社はどんな戦略を実行しているでしょうか?あなたの会社はそれに対抗しようと同じことをしていないでしょうか?

【参考】
『儲けのしくみ教えます!「ランチェスター経営」がわかる本』
著者:竹田陽一 フォレスト出版

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