SWOT分析のトリセツ

今日は事業計画を作る際に必要なツールとしての「SWOT分析」についてお話をします。

よくコンサルタントが社長に囁きます。

「社長!社長の会社には必ず強みがあります!」

「その社長の会社の強みを伸ばして、会社を成長させましょう!」

そこで出てくるコンサルティングのツールが、今日のテーマのSWOT分析なる一枚のペーパー。

SWOT分析はマーケティング戦略立案における環境分析ステップで、自社の環境要因を考える目的で利用されます。

SWOT分析とは「強み(Strength)、弱み(Weakness)、機会(Opportunity)、脅威(Threat)」の頭文字から命名されたフレームワークで、SWOT=強み、弱み、機会、脅威の4つを組み合わせて分析することで、自社にとっての、市場機会や事業課題を発見することツールとして、フィリップ・コトラーがマーケティング分野において提唱したものです。

しかし、そもそも私の考えは入り口から違います。

私のコンサルティングのベースは、「そもそも中小零細企業に強みはない」という前提から考えるからです。
→ ここでいう中小企業の定義は従業員100人以下の会社

なぜ「中小企業には強みがない」といえるのでしょうか?

そもそも大企業になっているところは、社長がしっかりと「強みづくり」に取り組んできた結果、大きな市場を手に入れて拡大しただけで、「自社の強みづくり」に真剣に取り組んでいない会社に、強みは存在しないからです。

会社にとって大切なことは、「強みづくりへの真剣な取り組み」以外にありません。

いきなりコンサルタントに「あなたの会社の強みは?」と言われてSWOT分析をさせられても、私にとってみればまったく意味のないことです。

問題は「どこだったら強みを作れるか?」のかを考えることです。

本来SWOT分析はその思考を助けるツールとして存在しており、なんどもシミュレーションをすることで「取り組む強みづくり」を、社長が自分なりに明確にしていくものです。

だから、もしあなたがコンサルタントからいきなり「SWOT分析」と書かれた紙を目の前に出されたら、こう質問してください。

「PEST分析、3C分析、4P分析などは、なぜしないのですか?」

イメージでいえばこんな流れで分析を考えてください。

経営計画を作るときの分析の流れ

(1)環境分析

マクロ分析(PEST分析)

PEST分析のP:Politics/Political(政治面)
PEST分析のE:Economy/Economical(経済面)
PEST分析のS:Society/Social/Cultural(社会/文化/ライフスタイル面)
PEST分析のT:Technology/Technological(技術面)

業界環境(5フォース分析)
新規参入の脅威(entry)
競合の脅威(rivalry)
代替品の脅威(substitutes)
供給者(サプライヤー)の脅威(suppliers)
購入者(顧客)の脅威(buyers)

(2)自社分析 ターゲット分析(顧客分析)、ポジショニング分析

(3)マーケティング分析

マーケティングミックス(4P)製品分野、価格分野、流通分野、プロモーション分野

(4)SWOT分析

強み:目標達成に貢献する企業内部の特質
弱み:目標達成の障害となる企業内部の特質
機会:新規参入の脅威
脅威:目標達成の障害となる外部の特質


ここまでたどり着ければ、会社の強みづくりの「目的」と「目標」が作れるようになってきます。
目標がはっきりすれば、あとはそれをどう実現するかという計画が「戦略」になってくるわけです。

ランチェスターマネジメントでは、この戦略分野は8つに区分して落とし込んでいきます。

  • 経営の対象・・・商品戦略、地域戦略、業界/客層戦略
  • 経営の知識・・・営業、顧客維持
  • 経営の手段・・・組織、財務、時間

ここまで落とし込んで「現場」のマネジメントに浸透できるわけです。

SWOT分析とは、実はその前後がとても大変な作業なのです。

社長の思いつきで「ここが強い」、「あそこが弱い」なんて感覚的に活用するものではないということです。

最近は人の採用が困難だったり、やっと採用したと思ったらすぐにやめたりして、社長の頭にはいつも人事のことでいっぱいになる場合も、すくなくないと思います。

しかし、最近は若い就業希望者も、単に「大企業」だからという理由だけで、恐竜みたいな会社に入りたがる人ばかりではありません。

社長が先頭に立って「自社の強みづくり」にしっかり取り組んで、それが未来を変えられると感じる会社であれば、多くの人が就職を希望する時代です。

会社の強みは発見するものではなく、作り出すものという考えでSWOT分析を活用して、成長戦略にしっかりと取り組めば、きっと今までとは違う景色が見えるはずです。

あなたは社長として、SWOT分析からどんな目標を掲げるのでしょうか?

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