利益はどこから生まれているか?

経営を構成する大事な要因とそのウエイト付けのあと、利益性の善し悪しはどのような条件で決まるかという「利益性の原則」をはっきりさせる必要があります。
本や講演では「こうしたら儲かる」「ああしたら儲かる」といろいろな説明がされています。

しかし「利益性の原則」も形がなくてつかみどころがないので、実のところどうすれば利益性が良くなるかさっぱり分からないのです。

あなたのこれまで、何冊もの経営本や営業本を読んできたと思いますが、「利益性の原則」については幾度となく疑問を持たれたはずです。

そこで再び、道元の教え「こだわらず、とらわれず、片寄らず」の「空の心」になります。
「空の心」になったあとで、イメージしやすいような食材をレストランや居酒屋に販売したり、包装資材や事務機を法人企業に売る「業務用の販売業」をモデルにして、「利益性の原則」を考えていくことにしましょう。

≪粗利益の70%を占める営業費用≫

業務用の販売業では、営業マンの給料をはじめとして、自動車のガソリン代、償却費、修理代、保険、高速代など「広い意味での営業経費」が、生み出した粗利益の中から65~70%も出ていきます。小売業や飲食業は店舗の家賃と光熱費、人件費を考えてく
ださい。

粗利益はお客さんからしか出ませんが、そのお客を作ること自体に、とても多くの経費が出ていくことが、このことからも分かります。

営業経費以外にも、内勤者の給料や会社の家賃、借入利息など、そのほかの経費を払うと、税込み利益に相当する「経常利益」はわずか「6~7%」になってしまいます。
たとえば、100万円の粗利益を作ったとしても、広い意味での営業経費として「70万円」がバッサリと出ていきます。

そのあとで、内勤者の給料やそのほかの経費として「23万円」が出ていくので、経常利益となるのはわずか「7万円」になってしまうのです。
さらにこれから税金を払うと、とにかく悲しくなるくらい儲かりません。

これはもちろん黒字社会の場合であって、赤字の会社の話ではありません。

≪営業マンの3大作業≫

「利益性の原則」をはっきりさせるには、改めて営業マンの行動作業を、はっきりさせておく必要があります。

営業マンの仕事内容は、「移動時間」「社内業務時間」「お客との面談・コミュニケーション時間(面談・コミ時間)」の3つに分けられます。自分の会社にいても、お客に電話をしたりFAXやメールをしたりする時間は「面談・コミ時間」に入れます。

≪移動時間について≫

移動時間は、多くの経費が出ていくのに1円の粗利益も生みません。移動時間は日常の営業だけではなく、納品や集金、アフターサービスのときにも発生します。小さな会社の利益性を良くするには、この移動時間を業界の平均よりも思い切って少なくしなけれ
ばなりません。

小売業や飲食業では、「客待ちの時間」が移動時間と考えてください。

≪社内時間について≫

社内業務時間は必要ですが、1円の粗利益も生まれません。ですから、この時間も一定の限度を超さないようにしなければなりません。通常は全体の25%に抑えるべきです。

≪面談・コミ時間について≫

面談・コミ時間は重要です。お客との面談をはじめ、お客に電話をしたりFAXを入れたりメールをする時間だけが、唯一粗利益を生み出す時間になります。

卸や業務用の販売業では、この時間が25%ほどしかない会社はたくさんあります。
なかには、20%しかない営業マンが何人もいる会社すらあります。
これでは赤字は避けられません。

このように、営業マンの行動を見ると、「移動時間」「社内業務時間」「面談・コミ時間」の3つの比率によって、利益性の善し悪しが構造的に決まってしまうことが分かります。

あなたの会社が利益性の高い良い会社になるには、本当の仕事となるお客との「面談・コミ時間」が、同業者よりも「構造的」に多くなるような「根拠」を作らなければなりません。

その根拠とは、「ある特定の地域」にお客を集中して作り、お客占有率で「1位」になることなのです。効率よく営業をして、「広い意味での営業経費」を抑えることが、小さな会社やこれから起業する人にとっていかに大事かを肝に銘じておいてください。

≪1位有利の4原則≫

ある特定の地域でお客を集中して作り、お客占有率1位になると、小さな会社はとても有利になります。これを「1位有利の4原則」と呼んでいます。


  1. 広い意味での営業経費のダウン・・・効率の良い営業ができるようになる
  2. 口コミ率のアップ・・・人は1位という言葉に反応する
  3. 同業者のお客の移動・・・倒産した会社のお客は、1位の会社に流れてくる
  4. 新規開拓に有利・・・新規で営業しても、信用度が違ってくる

以上は営業地域についてですが、こうなる根拠は「集中効果」によるプラス作用ですから、お客作りと直接関係する「商品や業界・客層」でも同じことが起きます。

≪1位を作れば経常利益が大きく変わる≫

決算書や公表されている株式上場企業で確かめてみると、1位を占有している会社の従業員1人当たりの経常利益は、2~4位の「3~6倍」も多くなっています。
逆に見ると、2~4位の会社は同じ商品を作ったり売ったりしながら、従業員1人当たりの経常利益は3分の1~6分の1しかないのです。

だからといって、2~4位の会社の従業員が怠けたからでもなければ質が低いからでもありません。お客を作るときに直接関係する商品、地域、業界や客層に1位のものが1つもないからです。なぜこうした開きが生じるのでしょうか?

それは1位の会社の社長は、1位作りを目標にし、1位を作るときに欠かせない仕組み作りをしたからに他なりません。

これに対して、1位のものがない会社の社長は、目先の売上高や目先の利益を追い求めて経営をしていたから、結果として1位が1つもできていないのです。

【参考】儲けのしくみ教えます!「ランチェスター経営」がわかる本
著者:竹田陽一 フォレスト出版

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