早いもので、もうすでに7月。
コロナも終息しそうに見えてきて、北京では大規模なクラスターが発生するなど、一筋縄ではいかない厳しい現実も新たに見えてきた6月でした。
今日は、ちょっとだけこれからの中小企業の在り方について考えてみたいと思います。
これを読まれているあなたが、どうか感じていらっしゃるか分かりませんが、私にとって日本、日本人とは「変化」をもっとも嫌う国民ではないかと思っています。
それは、私たち日本人にとって「安定」ということが一番大切なことだという表れではないではないかと考えています。
江戸時代から「天下泰平の世」という表現がされてきた通り、日本人はこの「天下泰平の世」が大好きだと思うのです。
それを長年続けると何が起きるのか?
時間の経過とともに周りの環境が知らないうちに大きく変化していき、ふと周りを見回したと時には、今までとまったく違う世の中になってしまっていて、明治維新のような劇的な変化をせざるを得ない状況に追い込まれているということです。
アメリカの大学から帰国して初めて日本の会社に就職した時、「波風立てるな」といわれたことがあります(笑)。
これも「天下泰平の世」の発想からでる、誰かの庇護のもとで変化のない毎日を過ごせることが一番の幸せであるという気持ちから来ています。
しかし、ここで少し考えてみてください。
はたして「天下泰平の世」などということは、あるのでしょうか?
日本が戦後一見して「天下泰平の世」に見えていた理由を私は3つと考えます。
- アメリカに国防を頼ることで軍事に回す予算が抑えられていた→産業に予算が回る
- 戦争で焼け野原になってしまい、戦後はアメリカ等の最新鋭の工作機械をそろえることができた
→ 製造業の世界的な競争力 - 戦争による世界的な物資不足で供給する必要性があった(市場が広がっていた)
→ 市場の拡大
これを、テコにして日本は高度経済成長を支えGDPで世界第2の国になっていたのです。
こうやって環境として考えてみると、ある意味でいえばとても他力本願的ですね。
しかし、現在の日本を取り巻く環境は、2000年代になってからまったく変わってしまいましたね。
グローバル化の波が押しよせ、中国をはじめとする第3国の経済成長。
そして、今回のコロナ・ショックなど、今まででは現実的ではなかったことが、身近に起こりうる環境に大きく変化してしまいました。
VUCAの時代と呼ばれ「天下泰平の世」から、「不安定で脆弱な世」に大きく変貌してしまいました。
※VUCAとは
V:Volatility(変動性)
U:Uncertainty(不確実性)
C:Complexity(複雑性)
A:Ambiguity(曖昧性)
世界の覇権をめぐるアメリカと中国の戦い。
これもすでに戦争状態と呼べるほどの状態です。
どちらにも脆弱性を持ちながら「利権」を得るために激しくぶつかっているわけです。
当然、日本もこういった世界の影響をもろに受けていくわけです。
今回のコロナ・ショックでも日本人の仕事に対する意識は大きく変化しました。
今まで当たり前だと思ってしていた仕事の重要性や生産性がリモートワークなどをせざる得ない状況下で「働き方」も大きく変わってしまったわけです。
これも、まさに自助作用よる変化ではなく、外部要因から奇しくも働き方改革になってしまっているという状況です。
中小企業であっても、この潮流は無視することができません。
例えば、総務や経理の仕事だけではなく、採用活動、営業など多義にわたって会社との関係性が見直されているからです。
しかし、これはチャンスかもしれません。
なぜならば、自社のコンテンツ能力を高めることでリモート営業が可能になったり、経理や総務の仕事のフローを見直すいい機会になるからです。
これからの中小企業で必ず取り組んでいないと成長が期待できないことは、以下の3つだと考えます。
- 会社をアピールするコンテンツ制作
→ SNSなどデジタルプラットフォームに向けたアピール素材 - リモート営業の仕組化
→ 展示会やアナログ営業が減りリモートでの営業のやり方 - 経理や総務の作業の見直し
→ 会社の間接部門の作業のリストラ
これに対応できない中小企業は、かなり不利になると思います。
こういった在宅勤務の推進で、オンライン会議システムやデジタル営業の導入が一気に進む動きは、大企業を中心としてすごいスピードで加速していきます。
そこで、日本の中小企業に残された道というのは、どういった選択肢が合考えられるのでしょうか?
それは2つしかありません。
- 特定の商品、地域、業界/客層で縮小均衡なビジネスを続けること。
- デジタル変革に合わせたビジネスモデルに根本的に仕事を変えること。
1の方は最初にお話しした日本型「天下泰平の世」型、2の方は「明治維新」型ともいえるかもしれません。
1の場合に考えなければいけないことは「縮小」をどこまで考えるかという市場サイズです。
衰退産業であっても利益を享受することは可能ですが、問題はそのサイズの想定です。
あなたはどちらを選択しますか?