上場企業で経常利益を検証してみる

1位の会社は、2位~4位の「3倍~6倍」の経常利益をあげる

決算書が公表されている上場企業で調査してみると、確かにこうなっています。
これを従業員一人当たりの経常利益でみると、1位の会社は2位~4位の「3倍~6倍」も多くなっています。

反対に、2位~4位の会社から見ると1位と同じ商品を作ったり売っていながら、従業員一人当たりの経常利益は1位の「3分の1~6分の1」しかないのです。
こうなる根拠は、従業員一人当たりの経常利益が、市場占有率の「二乗に比例」するからです。

従業員一人当たりの経常利益=市場占有率の二乗

つまり、利益性の善し悪しは年商の大小で決まるのではなく、粗利益を作るときに直接関係する商品や営業地域や客層などで、他社より有利な条件を備えたものがあるかどうかで決まるのです。

事実、同じ業種で分析すると、たとえば年商4億円の会社と5億円の会社で、または年商7億円の会社と10億円の会社では、年商の大小による利益性の相関関係は成立しません。

これに疑問がある人は、年商とお客の数がほぼ同じ会社が2社あるとして、A社のお客さんは特定地域に集中しているのに、B社はA社の3倍も広い地域に分散しているとします。
さて、結果がどうなるかを考えてください。きっと納得できるはずです。

もちろん1期だけではこうならないケースもありますが、3年~4年を平均すると7~8割の率でこうなっています。
それでも疑問がある人は、『日経会社情報』(日本経済新聞社)と『市場占有率』(日本経済新聞社)の2冊の本を買って、業界別に分析してみてください。
きっとこうなっているはずです。

こう説明しても規模が小さな会社の社長の中には「それは大企業の場合はそうなるだろうが、我々中小企業ではそうならないはずだ」と疑問に思う人もいるはずです。

しかし、これは経営の原則ですから、中小企業でも当然成立します。
その証拠に、規模は小さいのに従業員一人当たりの純利益が多い会社を調べると、商品や営業地域など経営の大事なところに、必ず「強いもの」や「1位」を持っています。
こう説明してもまだ疑問が残る人は、次のことを考えてください。


  • 粗利益を作る特に直接関係する商品に「強いもの」が1つもなくてどれも負けている
  • 営業地域にお客を集中して作った強いところが1か所もなくてどこの地域も負けている
  • どの業界やどの客層をとっても強いものが無く、どれも負けている

以上のような状態で、利益だけ多くする方法はあるのだろうか、ということです。
こうみると、「強いものづくり」や「1位づくり」の原則にきっと納得してもらえるはずです。

出典:竹田 陽一:『プロ☆社長』:中経出版

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