これをご覧の方で、コロナが克服されたら、また元の生活に戻れると考えている人もいると思いますが、ワクチンが流通するまでの期間、ワクチンが流通されてもウイルスが変容したりすることの要素を考えると、最低でも2~3年は今のような状況が続くと考えた方がよいでしょう。
先日、私が主宰する経営者だけの勉強会に、ダイヤモンドプリンセス号の医療に携わっていた現役のお医者さんに来ていただきお話を聞きましたが、人間が完全に感染症を克服することは、無理であるとおっしゃっていらっしゃいました。
つまり、コロナ・ウイルスとは共存するしか道はないということです。
しかし、経済は待ってくれません。
早くビジネスを軌道に乗せて社会活動を活性化させなければ、国自体が疲弊してしまいます。
現に、コロナ禍になる前からすでに消滅した20年を経験し、経済衰退モードになっていたわけで、これから先は一体どう経営を創造していけばよいのでしょうか?
私は2つのキーワードで考えています。
- 資産価値形成のパラダイムシフト
- スタートアップ企業への投資の活性化
日本では、未上場のベンチャー企業に出資をした個人に対して、税優遇をするエンジェル税制というのは1996年から導入されていますが、出資対象となる企業の条件が厳しすぎることと、手続きが煩雑すぎて、ほとんど利用されてきませんでした。
しかし、コロナ禍の2020年4月に行われた税制改正でエンジェル税制の内容が一部変更され、株式型クラウドファンディングを通して資金調達を行う場合に、対象となる企業の条件が緩和されました。
それに伴い、クラウドで資金を調達して新規事業にチャレンジする中小企業は、増えてくることが予測されています。
アメリカで「ベンチャー」と呼ばれるのは、一般的に「ベンチャー投資家」のことです。
出資を受ける側は「スタートアップ」といいます。
日本の中途半端なエンジェル税制とは違い、アメリカなどで「エクイティ・クラウドファンディング(ECF)」といわれている、資金調達になっているものがあります。
創業から間もない企業に対して、出資をする個人投資家(エンジェル)を増やすことを税制面から支援して、自国のベンチャー事業を育成していこうとする施策です。
この背景にあるのは、アメリカの企業資産価値トップ100に入っている会社は、以前にそこに入っていた企業から誕生していないという事実があります。
時代ごとに企業資産価値の高い会社は存在するのですが、資本が潤沢にあって企業資産価値が高いところから新しい資産価値の高い会社が生まれているわけではなく、まったく関係ないところで技術革新をレバレッジして、時代の求めるサービスや商品を提供してきた会社が、過去の会社を上回る価値を生み出しています。
iPhoneが誕生したのは2007年。
現在世界のコンピューター出荷額の約7割がスマホになり、インターネット利用の半分を超えています。
世界時価総額トップ10企業の半分以上が、スマホ関連事業を本業としています。
今、企業価値上位にきている会社は、GE、IBM、Walmart、DuPontなどから誕生していません。
まったく見えないところから、新しいゲームが始まって巨大化しているわけです。
日本は、この目に見えない新しいゲームに参加しなかったために、国としてジリ貧になったともいえるでしょう。
これには、日本での資金調達が金融機関中心の間接金融に偏り過ぎていて、直接スタートアップ企業が資金調達する方法が限られているという背景があります。
そこで、最近では新たな資金調達の方法として、株式型のクラウドファンディングが注目されはじめました。
寄付型や商品購入予約型のクラウドファンディングとは異なり、投資家は数万円からの小口出資をすることで株主としての権利を得られるため、投資家は魅力的な事業を手掛ける会社を応援しながら、その会社がM&AやIPO(株式上場)した時には、元手に対して何倍ものリターンを得ることができるという仕組みです。
エンジェル税制についての解説動画(経済産業省)
株主クラウドファンディングの仕組み
日本では、2015年から株式クラウドファンディング(ECF)の法律整備や証券業界の自主ルールが作成され、2017年4月に日本初のECF業者として「FUNDINNO」(ファンディーノ)がサービスを開始しました。
2019年の時点でも、すべての業者を合わせた投資案件の資金調達額は5.4億円(取引成立数は31件)程度ですが、今後はエンジェル税制の改訂によって、個人が投資しやすい環境が整備されていくことから、ECFを介した資金調達を検討する中小企業も増えていくといわれています。
国内の主なECF業者
CAMPFIRE Angels(DANベンチャーキャピタル株式会社)
国内ECFによる資金調達額
- 2017年……3.25億円(取引成立数:17件)
- 2018年……7.09億円(取引成立数:35件)
- 2019年……5.47億円(取引成立数:31件)
- 2020年(8月時点)…3.86億円(取引成立数:27件)
※出所:日本証券業協会
アメリカに比べたら額が3ケタくらい少ない気がしますが、これが日本金融業界の実績主義の壁ですね。
これからの社長の資産形成は、いくつかの会社の株主となってその収益からエクイティを得るというやり方が広まることを期待します。
不動産投資で家賃を稼ぐことだけが資産形成ではありませんし、不動産投資はそんなに簡単なことではありませんから。
あなたも是非、ベンチャー投資、企業育成にチャレンジしてみませんか?
(参照:JNEWS.COM)