これからの人と車のつきあい方がかなり変化してきているようだ。
最近、日本でもよく見かけるようになってきた「カー・シェア」ビジネス。
日本では色々不便な点が多すぎて、一般的な普及というところまでは、いたらないらしい。
カーシェアリング事業者が車両を所有、各地にステーションを設置してレンタルする方式は設備負担が重いことから、小規模事業者には参入障壁が高く、タイムズ、オリックス、カレコ(三井不動産)の上位3社が、95%の業界シェアを獲得している業界。
事業の初期投資にかなりお金がかかることから、ランチェスター法則でいう「業界の寡占化」が、すでに定着してきているようだ。
最近の傾向を見ていると、都会にある企業が出張などの時にカーシェアリングを利用する場合が、増えてきているようだ。
車移動が必須になる公共交通機関が発達していない地方都市では、出張ニーズとして期待は大きいだろう。
また驚いたことに、都心で一番ニーズが高いのが「深夜時間帯の利用」。
カーシェアリングの会社がデータを解析すると、深夜の時間帯に利用はされているが駐車場から移動していない車が、都心ではとても多いらしい。
これは、車で移動するためではなく「飲んだ後」に、終電を逃して会社の負担でシェアリングカーの中で寝泊まりする人の利用が、かなり多いといわれている。
つまり、カプセルホテルの代わりに、シェアリングカーが使われているってこと(笑)
そもそも、レンタカーとカーシェアリングとは、何が違うのかが気になるところ。
カーシェアリング
メリット
予約が簡単:予約~乗車までの手続きが簡単
カーシェアリングの予約は、初回の入会手続きさえ完了すればパソコンやスマートフォンから簡単にできる。
当日の乗車は専用のICカードもしくは携帯電話でドアを開けるので、対面手続きは一切ない。
短時間利用:短時間利用が可能
カーシェアリングは10分~15分刻みの短時間利用が可能です。価格も100~200円程度とお手頃価格で車を借りることができる。
24時間利用可能:貸し出し・返却が24時間可能
実店舗を持ち対面で受付を行うレンタカーと違い、カーシェアリングはステーションへ車を返すだけで返却が完了。
予約さえ入れておけば夜中でも車を借りることができます。
夜間~早朝までの利用料金がオトクになるナイトパックを設定している会社が多く、上手に利用すればお値打ちに利用することが可能。
満タン返し不要:ガソリン満タン返し不要
カーシェアリングではガソリン代も料金内に含まれているので、ガソリン満タン返しの必要がない。万が一ガソリンが少なくなった場合は、車内に備え付けられた給油カードで給油ができる。
デメリット
会員カード:会員制
利用するためには予め会員登録をする必要があり、ICカードの発行等で利用するまでに時間がかかる場合がある。さらに月額基本料金がかかるので、全く使用しなかった月でも費用が発生。
ただし、最近は差別化としてこの月額会費を無料にして会員拡大をしている会社も登場。
予約できない:借りられない場合がある
他の利用者とシェアしているため、自分が使いたい時にその車が利用されている場合がある。
予約していた時間を変更したいと思っても、次の予約が入っている場合には延長することができないなど、自分が思っている時間で自由に使えない場合も多々あり。
汚い車:貸し出し毎の清掃がない
レンタカーとは違い貸出毎に清掃が行われることがなく、使い方の悪い会員の後に使うことになると、車内が汚い状態で乗らなくてはならない。
元の場所へ返却:乗り捨てできない
カーシェアリングは使い終わった車は、元のステーションへ返す事が前提。
いわゆる『乗り捨て』ができない。
レンタカー
メリット
豊富な車種選択可能:車種の選択肢が豊富
レンタカーでは豊富に車種を保有しているので、利用目的に応じて車を選択することができる。
来店型:会員登録不要で利用できる
カーシェアリングのように事前の会員登録をすることなく、店舗へ来店することで利用することができる。
急に車が必要になっても会員登録なしで利用できる。
きれいな車:安心・清潔な車に乗れる
レンタカーに使われる車両は、乗用車の場合6ヶ月毎の点検を受ける必要があり、一般の自家用車よりも短いスパンでメンテナンスされている。
利用ごとに車内清掃を実施するので、清潔な状態が保たれている。
乗り捨て可能:乗り捨て可能
乗り捨てが可能。
デメリット
レンタカー店:営業時間が限られている
24時間営業の営業所もありますがそうでない営業所もある。
多くの店舗の営業時間は20時まで。
ガソリン満タン:ガソリン満タン返却
使った分のガソリンを入れて返却する必要がある。
手続き中:手続きに時間がかかる
受付、車両確認を経て出発までに約10~15分、返却後も約20分程度の時間が必要。
新しいビジネスモデルの事業では、必ずターゲットにしてシェアを奪おうとする既存のビジネスの上に成り立っているので、こういった比較をすると業界の全体
像がよく見えてくる。
交通エコロジー・モビリティ財団の調査によると、日本国内には29社のカーシェアリング事業者があり、トータルでは160万人の利用会員に対して、3万5千台の車両をレンタルしている。
10年前と比べれば市場は拡大しているとはいえ、国内で6千万台以上あるマイカー販売市場と比べれば、ニッチな市場に過ぎないらしい。
さらに、常に世界をリードしているアメリカでは、最近レンタルではなくマイカーを1ヶ月単位で所有できるという一歩進んだサービスがあり、急成長してきているらしい。
2016年にロサンゼルスで創業した「Fair.com 」は、月額固定額のサブスクリプション型により、新たなマイカーの所有形態を提供するスタートアップ企業。
同社のサイトには、3000社以上の自動車販売業者と提携する形で、月額150ドル~の予算で利用できる中古車の在庫が2万台近く掲載されている。
【Fair.com】(参考)
https://www.fair.com/
月額価格には、車両本体に加えて、定期的なメンテナンス費用(オイル交換やタイヤ代など)、保険料金までが含まれている。
スマホアプリから簡単に購入手続きができるのも特徴で、まとまった資金を用意できない若者でも、申し込みから最短3日間程度で希望するマイカーに乗れる。
車両をその都度返却する必要は無く、気が変わった時には5日前に連絡をして返却するか、次の車に乗り換えることができる。
月額150ドルで利用できるマイカーは、走行距離が6万キロ近いコンパクトカーだが、月額料金の予算を200ドル、250ドルと上げていけば、選択できる車のランクも
上がっていくらしい。
今まで車は「自己保有」が原則。
旅行に行く時だけ必要に応じて「レンタル」できるサービスがあった。
しかし生活が多様化する中で様々なサービスが生まれ始めているということを「ニーズの多様化」と呼ぶわけで、企業はこの多様化にどんなサービスをもって提供していくのかが、これからはさらに重要になるわけだ。
あなたの会社は、こういった市場の変化をどのように考えていますか?
参照資料:JNEWS.com、車両管理WEBマガジンくるまが