「企業は人なり」は社長のエゴ

経営書を読んだりセミナーに参加したりすると、必ず出てくる決まり文句が「企業は人で決まる」というものです。

株式会社や有限会社の会社自体には、頭はもちろん手や足など、実行するときに欠かせない手段は何ひとつありません。

経営をするときは「人」が計画を立て、それを実行するのもまた「人」です。

「パレートの法則(80対20の法則)」が示す通り、多数の競争相手がいる場合には、上位3~5パーセント以内に入っていないと従業員1人あたりの純利益は多くならないので、業績を上げるには当然、実力を高めなければなりません。

これらのことから、「企業は人で決まる」という教訓が生まれたようです。

ところが、企業は人で決まるという「人」とは、いったい誰になるのでしょうか。
そして、その「人」の実力によって、業績の何割が決まるのでしょうか?

こうしたことを、はっきりと説明しているコンサルタントや評論家は、いないでしょう。

中小企業の社長の中には、企業は人で決まるの「人」は「従業員である」と信じ込んでいる人がとても多い。
こうした間違った思い込みは、社長の責任を曖昧にし、教育費のムダ遣いを発生させます。

「企業は人で決まる」という教訓の「人」とは、まぎれもなく社長その人になります。
ところが、多くの経営コンサルタントや人事コンサルタントは、根拠を示すことなく、企業は人で決まると言っています。

人は何事につけても、自分に都合がいいように考える悪いクセがあります。

あなたは、この「人」を「従業員である」と思い込んでいませんか?

たとえば、従業員3000人くらいの会社の社長がこう考えるのなら、いくらか正当性がるかもしれません。
しかし、自分に都合よく考える人の多くは、従業員が30人くらいの会社の社長なのです。

私がセミナーなどで「従業員100人以下の会社では、業績の96~98%が社長1人の戦略実力で決まるのです。
企業は人で決まるという『人』とは、つまりあなた自身になるのですよ」と説明しても、すぐには信用してもらえません。

中には、「私は会社の大株主であるから、業績をよくする義務は従業員側にあるはずだ」と反論する人もいます。
大株主が言うのですから、これは一見正しい考えのように映ります。

しかし、その人が法律上の会社の所有者であるかどうかということと、社長としてなすべき仕事に身を入れるかどうかとは、まったく別問題なのです

なぜなら、社長が受け取っている報酬は会社の所有者であるからではなく、社長として仕事をしたことに対する報酬なのですから。

〈チェック〉
企業は人で決まるという「人」とは、誰になると考えていたでしょうか。
あなたは従業員を「人」だと信じ込んでいなかったでしょうか。

〔参考〕
小さな会社・社長のルール ~ランチェスター経営 成功への実践手法~
竹田陽一:著  フォレスト出版

ランチェスター戦略 経営実践塾
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