見えない戦争(インビジブル・ウォー)が日本を襲う!
今日は少し過激に感じるタイトルかもしれませんが、現実的に今日本が直面しているのは「戦争」なんです!
ウクライナで起きているロシアの進行は目に見える「戦争」ですが、現代の戦争はロシアがしているように、武器を使って建物を破壊したり人を殺したりすることだけではありません。
見えない戦争(インビジブル・ウォー)
インターネットは、世界を変えました。
それまで壁となっていた国境を越えて、情報や知識が流通するようになり、多大な変革を世界にもたらしたのです。
それは、ある意味で“見えない戦争(インビジブル・ウォー)”を生み出すきっかけにもなりました。
これからの社会では、AIや電気自動車などの技術革新は世界を変える力を持っています。
だからこそ、アメリカや中国、EUはその分野に力を入れ、日本の会社を標的にして世界の覇権を手に入れようと必死です。
しかし残念なことに、日本政治家も国民も、過去の強い平等意識のなかで国が成長していた昭和時代を懐かしんで「夢をもう一度」と念仏を唱えているだけ。
その国民が生んだのが「なんでも検討する」総理大臣です。
彼は、現代の日本の象徴となる極楽とんぼを体現したような人でした。
私の尊敬する、鹿児島県の社長さんから連絡がありました。
コロナ禍に加えてウクライナ戦争によって、ステン板や電子機器の値段がバンバン急上昇しており、納期は1年かかるらしい。
たかがインバーターの納期が1年だそうです!
お陰で1年先に受注している装置の見積もりが書けない!と絶叫されていらっしゃいます。
しかも、鹿児島の自衛隊ではスクランブル発進が毎晩だそうです。
2月末に、トヨタに内外装部品を提供する小島プレス工業(愛知県豊田市)がサイバー攻撃を受け、同社のシステムに障害が発生した事件をご存じでしょうか?
日経XTECHの記事(2022年3月8日)によると、この影響によって丸1日(2直分)のトヨタが国内に有する全ての完成車工場(14工場28ライン、日野自動車の羽村工場とダイハツ工業の京都工場を含む)が稼働を停止しました。約1万3000台の生産が遅れたそうです。
日本の製造業は今、海外から「セキュリティー対策が甘い企業が多い」(専門家)と見られているから狙われやすいそうです。
今回、小島プレスが受けたのはランサムウエア(身代金要求型ウイルス)の攻撃ですが、日本の自動車業界では2020年6月にホンダが同じくランサムウエアの被害を受け、「国内外の9工場」(同社)の生産が一時停止する事態に見舞われた事件もありました。
ランサムウエアに感染すると、最終的に業務上のデータが暗号化され、同時に送金や暗号資産(仮想通貨)などの支払いを要求するメッセージが表示され、この脅迫に応じて金を支払わなければ、システムが使えないままとなるという産業を破壊するほどの脅威なのです!
身代金を支払っても金を奪い取られるだけでハッカーに逃げられることもあれば、攻撃対象として繰り返し狙われる危険性もあって、支払った金が犯罪組織の活動資金になる可能性も指摘されています。
人を殺すことだけが戦争ではなく、こういった産業を破壊する工作が周辺諸国などからも執拗に繰り返されていますが、日本人の相変わらずの平和ボケとは・・・悲しいばかりです。
日本は間違いなくスタグフレーションに襲われる
そして、忘れてはいけないのが、日本は資源のない国だということ。
今回の、ロシアが仕掛けたウクライナ戦争で日本への影響が一番懸念されるのが、ロシアからの燃料輸入のストップ。
日本は、ロシアからの輸入に天然ガスや原油の10%程度を頼っています。
日本は第2次世界大戦後、米国から武力解除をさせられ武器を持たない国になり、米軍の戦闘能力に国の安全保障を委ねています。
今回のウクライナ戦争で、日本が欧米側のポジションをとることは当然なのですが、その際にロシアとの関係悪化は避けられないことでしょう。
日本は資源のない国ですから、エネルギーの供給を外国に頼っていて、最近では産業まで中国頼みになってしまっています。
ロシアや中国に逆らうようなポジションをとれば「もう供給してやんない!」といわれたら日本は赤子の手を捻るより簡単に破綻します。
1973年のオイルショックも、今回と同じように戦争で日本に輸入される原油価格が高騰したことがきっかけになりました。
当時、中東地域で勃発した紛争が、その発端です。
第1次オイルショックの時は、1973年10月にイスラエルとアラブ諸国による4度目の戦争である第4次中東戦争が勃発しています。
この戦争で、OPECのメンバーであるサウジアラビア、イランなどペルシャ湾岸6ヵ国が原油公示価格を70%引き上げたのに加え、中東戦争の敵国イスラエルと、その支持国に対する石油供給抑制を狙いとして、石油採掘の削減と同国を支援する米国やオランダに対して石油の禁輸を決めました。
これにより、原油価格は3ヵ月で約4倍に高騰したのです!
このようなペルシャ湾岸諸国が石油を武器として利用する戦略は、石油資源の大半を輸入に頼り、かつ、その多くを中東地域に依存していた日本経済にとって大きな打撃となったわけです。
コロナによる影響で、半導体などの産業物資がサプライチェーンから大きな供給に対する影響を受ける中、これからやってくるのはエネルギー価格の高騰による生産コスト高、生活コスト高です。
スタグフレーション(stagflation)とは、「stagnation(景気停滞)」と、「inflation(インフレーション)」の合成語で、不況にもかかわらず、世の中のモノやサービスの価格(物価)が全体的に継続して上昇することをいいます。
不況時は需要が落ち込むことからデフレとなりますが、原油など原材料価格の高騰などによって、不況にもかかわらず物価が上昇することがあるのです。
そして、こうした状態を「スタグフレーション」と呼ぶのです。
簡単に説明すれば、不況で賃金が上がらないにもかかわらず、物価が上昇するという厳しい経済状態で、まさに1970年代のオイルショック後に日本はこうした状態だったのです!
戦後日本にやってきたアメリカの経済学者のカール・シャウプ先生は、
「世界でもっとも優れた税制を日本に構築する」
という目標を掲げて、所得格差を是正し富を社会に分配するというシステムをつくり上げました。
これは、先生の自国であるアメリカの貧富の格差から、このような実験的なことを日本で導入しましたが、税制、教育における日本の平等意識は、敗戦から立ち直って、新しい民主主義国家をつくるという意味では、極めて有効に働いたお陰でその後の日本の1億総中流時代に突入します。
抜きん出た才能を生み出すより、平均的に優秀な労働力を育成することが、日本を優れたモノづくりの産業大国に成長した原動力になったわけです。
つまり、日本人を1億総中流という平等主義による「産業ロボット」に変換したわけですね。
しかしながら、日本が技術移転を人件費の安かった中国などの国へススメ、新興国がモノづくりの技術を培い、より低コストで生産できるようになると、日本は苦境に陥るようになってしまったのです。
日本の舵取りに暗雲が立ち込める中、武漢から発生したコロナ禍が世界の産業のサプライチェーンを力づく変え、そしていまロシアがエネルギーのサプライチェーンの力学を力づくで変えようとしています。
エネルギー資源の乏しい日本は、エネルギー政策の無策によって、スタグフレーションが襲うでしょう!
製造業を中心に日本の産業は、大打撃をこれからも海外から受け続けなければならないとしたら、それは日本の滅亡を意味します!
政治に無関心でも、無関係ではいられない時代になってしまったのです。
中小企業ができることは「新しいビジネスを創出すること」です!
どんな分野でもいいです、新しいビジネスを構築することに取り組みましょう!
(参照:日経新聞)