社員の行動は管理しない

組織が整って経営計画に基づくアクションがスタートすれば、次に行わなければならないのは経営管理です。
計画がきちんと実行できているかを、定期的にチェックするのです。

私は3~5年の中短期経営計画を立てた上で、その目標を3カ月ごとに落とし込んで確認していくサイクルをお勧めしています。

ところが、ここを勘違いしている社長さんが多い。

「経営管理」を「部下管理」と取り違えているのです。

こんな社長さんがいらっしゃいました。

社員20人ほどの会社を経営されているのですが、なかなか業績が上がらずにイライラしていました。
そして、成績の悪い営業スタッフを呼びつけては、
「これからの売上の目処は立っているのか」
「自分で営業方法を考え結果を出せ」
などと叱りつけているのです。
社員はみんな震え上がっていました。

さらにこの社長は、社員がどこで何をしているのかがとても気になるらしく、営業日報を見ながら
「この取引先では誰と話をしたんだ」
「この移動に時間がかかりすぎているんじゃないのかな」
などと、まるで刑事の尋問のようなことをします。

なぜそんなことをするのですかと聞くと、
「社員をきっちり管理しなければ目標を達成できないからです」
とおっしゃいます。
しかし、コンサルタントとして私がその会社を分析すると、そもそも目標設定が適切にできていないことがわかりました。
つまり、社長が社員の行動管理ばかりすることで、1番大切なところが見えてなかったということです。

業績が伸びないのはなぜか、目標が達成できないのはなぜか。
これを明らかにするためには「戦略」と「戦術」を分析しなければなりません。
もちろん、その結果、戦術係である営業スタッフのパフォーマンスに問題があることが明らかになるかも知れません。
しかし、それはあくまでも結果論です。
初めから社員の行動管理ばかりしていても、経営の本当の問題は決して見えてきません。
経営は社員管理することではありません。
組織に特有の使命目的を持たせ、仕事を通じて働く人たちを生かすことなのです。

出典
河辺 よしろう著『社長さん、税理士の言う通りにしていたら会社潰れますよ!』WAVE出版

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