社員に求める「役割」と期待する「成果」を示せ

組織構成を適切な形に整えたら、次にやるべきなのは、それぞれの社員に「求める役割」(何をやったらいいのかということですね)と「期待する成果」を示してください。
組織構成はあくまで形です。
そこに魂を吹き込まなければ、組織は機能し始めません。

ところが、ここをおろそかにしている社長さんが多い。

「うちの社員はどうもやる気のない奴が多いなあ」
「言っても響くやつがいない」

社長さんと話をしているとよくこんな言葉を聞きます。
そして、
「中小企業だから優秀な社員を採用できないんだよな…」
と愚痴を言います。

本当にそうでしょうか。
私は違うと思います。

人は、どんな時にやる気になるでしょうか。

それは、自分の「役割」と果たすべき「成果」が明確になっている時です。
これは、戦略を決定した社長の役割です。
会社の規模が大きくなれば、部長や課長にその役割を委任することになりますが、あくまで委任です。
ここを間違えないようにしてください。

では、それをどうすればよいのかというと簡単なことです。
「何を」「誰に」「どこで」「どのように」 売るのかが決まっていますし、取引先ごとの営業方針も明確になっているのですから、それをしっかり伝えればいいのです。

ところが「対前年比型」のように実効性・具体性のない経営計画しかなければ、非常に難しい。
だって「何を」「誰に」「どこで」「どうやって」いるのかが、はっきりしていないのですから
具体的な「役割」を示して、実現可能性のある「成果」を伝えることなどできませんよね。

にもかかわらず、毎日のように、
「もっと根性を出せ!」とか、
「なんでもいいからとにかく売上を上げてこい!」
とハッパをかけられても社員は心の中で反発するだけです。
組織も全く機能しません。

あるいは、こんな社長さんもいらっしゃいます。
自分の果たすべき役割がわからなくなった社員に、「どうすればいいでしょうか」と相談されて、
「それは自分の責任で考えなさい」
「自分で判断しなさい」
などとおっしゃいます。

一見、部下に判断を任せる懐の広い社長さんのようにも見えます。
確かに、ご自身の中に明確な経営計画をお持ちであれば、そうかもしれません。
しかし、自分の中に答えがないのであれば、単なる「無責任」です。
社員は、社長が本物かどうかをすぐに見抜きます。
懐の深い社長のふりをしても通用しないのです。

だから、社長さんは自分の言葉で社員に「求める役割」と「期待する成果」について語りかけるようにしてください。
それを、社員がきちんと理解すれば現場業務の効率は必ず良くなります。
そして、社長が細かな指示を出さなくても、社員は環境変化に対応して各自の工夫判断で仕事を処理して行くようになります。
そのためには、やはり社長が目標と戦略を、きっちり作り上げることが大前提となるのです。

出典
河辺 よしろう
『社長さん、税理士の言う通りにしていたら会社潰れますよ!』WAVE出版

ランチェスター戦略 経営実践塾
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