老朽化するマンションの救世主マンション管理士というビジネスチャンス

最近、名古屋駅に近いところに、新築のマンションを購入しました。
まだ新しいのでいいのですが、やはり気になるのが「マンションの老朽化」。

これからのマンション管理については、区分オーナーによる管理組合、業務委託先とする管理会社の他に、専門家の立場で管理組合をサポートする役割も必要になってくるといわれています。

2000年に創設された「マンション管理士」は、それに該当する国家資格で、管理組合役員からの相談対応、顧問業務、住民同士で起きるトラブルの仲裁、管理会社との契約内容についての改善点の指摘や、管理組合の理事に就任して直接的にマンション管理の変革を行うこともあるそうで、国家試験の合格率は8~9%と低く、宅地建物取引士(宅建士)よりも難易度が高いそうです!

宅建よりも、現状のビジネスに直結しそうな資格ですね。日本がバブルの頃には「主婦も宅建」とニュースになったものですが、これからは「主婦もマンション管理士」という時代になったのかもしれませんね。

マンション管理士には、弁護士や税理士のような独占業務は認められていないため受験者数は毎年1.2万人前後、合格者は約1000人と他の士業資格と比べて人気は低いですが、これからリノベーションや建て替えを計画するマンションでは、専門家の助言を受けることが必要不可欠になるため、マンション管理士が活躍できる機会は増えていくことが予測されています。

マンション管理士の役割

マンション管理士の顧問報酬は、月額3~5万円が相場で、その中で助言や相談対応を行う他、長期修繕計画や大規模工事の見積チェックなども別料金(10~20万円)でおこないます。

外壁の塗装や床(共用部)の張り替えなど、10~15年のサイクルで行われる大規模修繕は、1戸あたりの予算は100万円前後が平均で、総戸数100戸のマンションでは1億円超の金額になります。
しかし、管理会社から提示される工事計画には、無駄なコストが含まれていることが多く、それらをチェックすることで10~20%の費用を抑えることも可能なので、マンション住人の心強い味方となるわけです。

また、管理費と修繕積立金の支払いを滞っている区分オーナーから延滞債権を回収することも専門家の仕事になっていて、国交省の調査では、築年数の古い分譲マンションほど滞納率は高くなる傾向があり、全国平均では約25%のマンションで3ヶ月以上滞納の区分オーナーを抱えているそうです。

入居者の高齢化が、無理なマンションローンの支払いに影を落としているようですね。

管理費・修繕積立金の滞納率(3ヶ月以上)

  • 滞納者なしのマンション…75.1%
  • 総戸数の1%未満………… 6.7%
  • 総戸数の1%超~2%……… 8.3%
  • 総戸数の2%超~3%……… 3.7%
  • 総戸数の3%超~4%……… 2.8%
  • 総戸数の4%超~5%……… 1.2%
  • 総戸数の5%超~10%…… 1.6%
  • 総戸数の10%超…………… 0.2%
    ※出所:平成30年度マンション総合調査

管理費、修繕積立金の滞納は5年で時効となるため、早期の解決が必要で、少額訴訟や民事訴訟などの法的措置を実行するのが正攻法になります。

この分野は、弁護士や司法書士にとって新領域の仕事として注目されていますので、従来、マンション管理組合からの依頼は、地域の商圏に限定されるため大きな仕事になりませんでしたが、ネットから相談されるケースが増えており、マンションの管理やトラブル解決に詳しい士業の専門家は、全国からの案件を獲得しやすくなっていることも、ビジネスに新しいチャンスをもたらしているようですね。

これらの仕事は、個人開業のスモールビジネスにも適していることも注目されている要因になっていますね。

そんな中で、新しいビジネスとして注目されているのが、マンション管理クラウドの成長市場!

旧態然としたマンション管理の手法を変革するには、ITの導入も不可欠で管理組合向けのクラウドサービスは、ニッチな有望市場として注目されています。

コロナ禍では、理事会の開催や住民同士のコミュニケーションが、オンライン化できる機能へのニーズが高まっているそうです。

丸紅系列で、マンション向けにインターネット接続サービスを提供するアルテリア・ネットワークスでは、管理組合向けの支援サービスにも力を入れており、子会社を通して「Mcloud(エムクラウド)」というクラウドサービスを提供して、500棟以上の管理組合に利用されています。

フリープランで提供されるのは、オンラインで開催する理事会の出欠確認から、議題の共有、議事録が作成できる機能で、ビデオ会議システムの「Zoom」と併用する方法になります。
区分オーナーの中には、部屋を賃貸している人も多く、リアルな会合には出席しにくいですが、オンラインであれば気軽に参加したり、過去の議事録を閲覧しやすくなるというメリットがあります。

プレミアムプラン(有料)として、マンション内の住民全体がコミュニケーションできる電子掲示板、マンション内行事のカレンダー機能、住民の意見や不満点を調査するアンケート機能、マンション内の共用施設を利用するためのオンラン予約機能、災害時の安否がPCやスマホから行える機能などがあり、マンション管理の主要な部分をオンライン化することが可能です。

プレミアムプランの料金体系は、1戸あたり月額110円が課金される方式で、総戸数が100戸の分譲マンションであれば、月額11,000円の料金となり、毎月の課金収入が安定するサブスクリプション型のビジネスが構築されているのです。

Mcloud

現在、経営の安定化のために様々な分野において、サブスクリプション型のビジネスが生まれていますね。

「住む」ということをテーマにしたADDressという月額を支払うことで、全国各地にて暮らすことができるサービスなども登場して人気を集めていますが、サブスクリプションで日常生活を色々な角度から見ることによって、新しいビジネスのチャンスが生まれるかもしれませんね。

ADDress

参照:JNEWS.COM

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