零細・中小企業の実践的YouTube活用方法

専業ユーチューバーとしての最低ラインのシルバーチャンネルに到達できるのは1%未満という現実で、どうやって自社をPRするのか?

コロナ禍でリモートワークが一般的になり仕事も生活も大きく変わりました。

ますます情報のデジタル化は進み、YouTubeなどが牽引役となって大企業の社員があっさりと会社を辞めて、ネットビジネスの世界へ入る動きも珍しくなくなってきました。

さすが、YouTuberなどは小学生の将来なりたい職業ランキングの上位に食い込むだけあって、10年前では考えられない社会構造、職業意識の変化を日々感じています。

YouTubeでは、動画配信をする総チャンネルの詳細データを公開していませんが、YouTubeチャンネルを分析する「tubics」によると、100万人以上の登録者数を獲得しているチャンネルは、2019年の時点で前年比65%増加したそうです。

2016年には、100万人以上のチャネルは世界で2000件しかなかったが、2020年11月には2.2万件に増加しているというから、その拡がりは凄いものを感じますね!!!

当然、YouTubeを新規で始めるユーザーも急増していて、2020年にはチャンネル数が前年比で23%増加して、登録者が10人以上の総チャンネル数は3,800万件を超す状況になってきています。

YouTubeは、登録者が10万人を超すチャンネルを「シルバー」、100万人超を「ゴールド」、1000万人超を「ダイヤモンド」として表彰しているが、専業ユーチューバーとして活動していく最初の目標となるシルバーチャンネルに到達できるのは、な、なんと全体の1%未満に過ぎなのです。

芸能界のような生き残りの難しい世界なんですね、YouTubeとは。

YouTubeチャンネル登録者の内訳(2020年11月)

  • 登録数が1,000万人超…… 約700チャンネル(0.0018%)
  • 登録数が100万人超 ………約2.2万チャンネル(0.06%)
  • 登録数が10万人超…………約23万チャンネル(0.62%)
  • 登録者が1万人超 …………約130万チャンネル(3.5%)
  • 登録数が1000人超…………約500万チャンネル(13.5%)
  • 登録数が1000人未満…… 約3200万チャンネル(86.5%)

登録者10人以上の総チャンネル数…約3700万チャンネル

How Many YouTube Channels Are There?(tubics)

厳しいネット社会の現実は、例えばあなたが専業Youtuberとして数十万人規模の登録者を獲得できたとしても、決して安泰というわけではありません。

Googleのエンジニアが公開している研究論文によると、YouTubeは「レコメーションエンジン」と呼ばれる、AIアルゴリズムを介して表示される「オススメ動画」の視聴が7割を占めているそうです。

視聴時間とクリック率の高い動画を投稿し続けていかないと、ユーザーに動画がレコメンドされなくなり、一気に再生回数が落ち込んでしまうという恐ろしい状況が待ち受けています!!

まさに、マスメディアの視聴率のようなものですね!

Deep Neural Networks for YouTube Recommendations

最近ではチャンネル登録者の数自体は価値を失ってきていて、ユーチューバーとしての収益モデルも大きな転換期を迎えています。

動画マーケティングを展開したい企業にとっては、従来のアドセンス広告枠に予算を投下していくことが最善策とは限らず、多様な方法を模索していることも、ユーチューバーの収益構造に大きな影響を与えるようになってきた原因です。

アルゴリズムに依存するユーチューバー収益構造

YouTubeの広告収入は、パンデミックの初期段階で一時的に落ち込みましたが、その後は急回復し、2020年10~12月にかけては前年同期比で46%増の68.9億ドル(約7000億円)と飛躍的に成長しました。

YouTubeは、広告収入の45%を自社の取り分として、残りの55%をチャンネル所有者に分配していると言われています。

広告単価は、広告主の入札件数が多いほど競り上がる仕組みになっているため、動画のカテゴリーと広告との相性により、常に3~5倍の価格差が生じているそうですが、ユーチューバーのマネジメント会社「UUUM(3990)」が管理するチャンネルの動画再生数と広告収入から算定した、動画1再生あたりの広告収入は、0.25~0.3円が現在の平均値となっているようです。

UUUM所属チャンネルの1再生あたり広告単価

  • 2017年……0.15~0.20円
  • 2018年……0.17~0.23円
  • 2019年……0.22~0.31円
  • 2020年……0.24~0.30円
  • 2021年……0.25~0.27円
    ※広告売上÷視聴回数=1再生あたり広告単価

YouTuberの収益構造は「動画の再生数×広告単価」が基本になるため、高収入を維持するには月間再生数を稼げる動画を配信し続けるしか方法はありません。

しかし、YouTube全体の動画投稿数も急増しているため、ユーザーに表示される動画はアルゴリズムに操作されている部分が70%を占めており、チャンネル登録者が自分の意志で再生する割合は15%程度に過ぎないといわれています。

そのため、チャンネル登録者数が100万人を超すチャンネルの中でも、前月の月間再生数は2500万回だったが、今月は1000万回に落ち込んだ、という急変動は頻繁に起きるようになってきています。

YouTubeの動画視聴ルート

  • アルゴリズムによるレコメンド……約70%
  • チャンネル登録者の視聴……………約15%
  • SNSルート、検索による視聴 ………約15%

オンラインコンテンツの著作権管理プラットフォームを開発する「Pex」が2019年に行った調査によると、YouTubeで再生回数が10万回を超す動画は0.77%に過ぎず、これらの上位動画が82.8%の再生シェアを獲得している一方で、再生回数が1000回に満たない動画は、投稿全体の88.4%を占めています。

完全に寡占期に突入しており、パレートの法則が発動されている一部の勝ち組と、その他多くの「ガヤ集団」がYouTubeの実態といえます。

YouTube動画の再生回数分布

  • 再生回数が1000回未満の動画………88.4%
  • 再生1000~1万回未満の動画 ……… 8.0%
  • 再生1万~10万回未満の動画 ……… 2.8%
  • 再生10万~100万回未満の動画 …… 0.7%
  • 再生100万回以上の動画 …………… 0.07%
    ※上位0.77%の動画が総再生数の88.4%を占める。

pex.com

勝ち組の人気動画と負け組の不人気の格差が大きいのはアルゴリズムの影響ということになりますが、その背景として、YouTubeには毎分500時間以上の新着動画がアップロードされており、運営母体のGoogleは、サーバーと通信回線にかかる莫大な経費を負担していることが関係しています。

現在のアルゴリズムは、仮に不採算の投稿動画9割を削除しても、YouTubeが広告収入の大半を失わないようにチューニングされており、チャンネル間で生じる優勝劣敗の構造は更に進むとみられています。

なので中小企業がリモート営業としてYouTubeなどを活動する場合には、まだ見ぬ新規顧客の開拓の場だと考えずに、現在会社にある顧客名簿などに自社の活動を知ってもらうための映像ツールとして活用することが現実的です。

その大前提となるのが、社内の名刺管理をどのように取り組んでいるのかということです。

社内の顧客情報の管理の仕方が、会社の影響に大きな影響を与えるのは明白です。

あなたの会社では、顧客情報の管理・活用にどのように取り組んでいますか?

(参照:JNEWS.COM)

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