革新に伴う困難を克服せよ

中小零細企業は、強い競争相手からいつも強い圧力を受けていますから、何もしなければ必ずジリ貧になって、やがて電話帳から社名が消えていく結果になります。
日常の仕事でも、今までと同じやり方をしていると、毎年数%ずつ効率が低下していきますから、何もしないでいるとやはりジリ貧になって経営が危なくなります。

こうならないためには、経営の大事なところに思い切った革新を加える必要があります。
今までのやり方を少しずつ変えるのを「改善」と呼ぶのに対して、「革新」はやり方の内容が大きく異なるものを指します。

社長には強い勇気と決断力が要求される

例えば、ブラウン管を使ったテレビで、ブラウン管の首の長さを少しずつ短くして奥行きを薄くしていくのは「改善」になりますが、液晶テレビやプラズマテレビは、そのやり方と全く異なりますから、これは「革新」になります。

これまでは、部品の下請けや孫請けが中心であったのを、ある用途を持った「完成品」を開発し、これをインターネットなどで会社や家庭に売るのは商品構成と営業の革新になります。

同じくメーカーの場合で、これまでは卸会社、販売店、エンドユーザーの順で商品を流していたのを、おろしと販売店を通すのをやめてエンドユーザーに直接販売することにしたら、これは営業の革新になります。

これまでは店頭や電話で株式の売買を受け付けていたのを、インターネットで受け付けるようにするのも営業方法の革新になります。

同じく、今まで誰も出かけていない商品や有料のサービスを考えだし、これを販売するのも革新になります。

「革新」は競争条件が不利な会社に欠かせない「差別化」にも通じますから、競争条件が不利な会社ほど思い切った革新を加えていくことが欠かせないのです。

しかし、今までやっていたものをガラッと大きく変えようとすると、まず社内で強い反対が起きます。
さらに、商品の流通を変えようとすると、これまでの取引先から強い反対が起きますから、考えていることをやり遂げるには社長に強い勇気と強い決断力が要求されます。

アメリカの思想家エマーソンは「困難にはそれと同等か、それ以上の良いヒントが隠されている」と言っています。
事実、今までにないものを考えだしたケースを調べると、大きな困難や大きな不幸と出会った後に見つけているケースが多くなっています。
経営をしていると、売り上げの不振や利益の減少など、いろんな困難と出会います。
この時安易に逃れようとせず「解決できる、なんとかなる」と、先に結論を出し、その後やれそうな方法をいくつも考えだします。
そして、良さそうなものを試しにやってみると言う、積極型人間の手順を実行すると、当初予想もしてなかった良い方法が見つかる場合があります。これは「革新」になるのです。

出典
竹田 陽一『プロ☆社長』中経出版

ランチェスター戦略 経営実践塾
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