コロナ禍で成長するアウトドアレジャーとは?

ワクチン接種が世界ではじまったといっても、まだまだ先の見えない環境が続く中、巣籠消費につかれてきた消費者が楽しみを求めて新しいコンテンツに注目を始めています。

観光産業でも、アウトドアで楽しめるレジャーの開発、育成が重要視されています。
従来、アウトドア施設の開発には、自然保護の観点から行政の許可が下りないケースは多かったのですが、コロナを転機として規制緩和に前向きな国も増えてきています。

米国議会では、2020年6月に「グレートアメリカン・アウトドア法」が可決されて、国立公園内の環境を保全した上で、アウトドア設備の改修と、新設に5年間で95億ドル(約1兆円)の資金が投じられることが決まりました。

1兆円ですよ!!!

日本の政府がこのような予算のつけ方をしたら野党が難癖つけそうですが、やはり規模の大きさは国の受容を予測しての政府の判断なのでしょう。

この法案で、行政と民間とが協力して新たにアウトドア施設を開発することも容易になって、数十万人規模の新たな雇用が生まれることも期待されているといいます。

米国のアウトドアレジャー産業には、年間7,880億ドルの経済規模があり、520万人が関連の仕事に従事していて、今後はさらにアウトドアビジネスが盛り上げっていく可能性が高いとみられます。

米アウトドア業界団体「Outdoor Recreation Roundtable(ORR)」の統計によると、米国民の2人に1人(約1.4億人)がアウトドアレジャー愛好者であり、多様な野外活動を楽しんでいるというデータもあります。

米国アウトドアレジャーの経済規模(2019年)

サイクリング 36.0億ドル
ボート/フィッシング 411.8億ドル
登山/ハイキング/テントキャンプ 58.1億ドル
乗馬 140.2億ドル
狩猟/射撃 140.0億ドル
モータサイクル(二輪) 210.6億ドル
レクリエーション航空機 29.6億ドル
キャンピングカー 347.3億ドル
スキー/スノーボード 124.1億ドル

※出所:Outdoor Recreation Roundtable(ORR)

日本でも、自転車部品と釣り具メーカーのシマノ(7309)は、両事業ともに2020年は新規ユーザー層が増えたことで業績を伸ばし、前年比で営業利益が21%伸びています。
同じく、「DAIWA(ダイワ)」のブランド名で釣り具メーカーとして世界1位のシェアがあるグローブライド(7990)も、日本と北米市場でフィッシングユーザーが増えたことにより、前年比で営業利益が131%増となっています。

シマノフィッシングサイト

DAIWA(ダイワ)

また、三密を避けてアウトドアを楽しめる乗り物としてバイクの人気も高まり、特に中型、大型の高級バイクが売れています。

中古バイクの買い取りを行う、バイク王(3377)の2020年決算は、売上高で11%増、営業利益で235%増で絶好調!

営業利益の伸び率が高いのは、ユーザーから買い取ったバイクを業者オークションで売却するのではなく、直営店舗で販売する業態への転換が成功しているためです。
つまり、ビジネス・モデルの転換をすることで高収益体質をつくり出したのです。
転売だけだと、転売で得られる利益は他社のものになりますが、仕入れを増やして在庫を強化することで、市場のニーズに応える中で自社販売して利益を確保するというビジネス・モデルです。

バイク王

4輪のキャンピングカーも、レンタル、販売ともに需要が急増しており、程度の良い中古車は、すぐに次の買い手が付く「タマ不足」の状態が続いています。

消費者にしてみると、これまで海外旅行や屋内レジャーに費やしてきた予算を、感染リスクが低い野外で家族や友人と楽しめるアウトドア活動に乗り換えようとするのは、わかりやすい価値観といえるでしょう。

国内でもワクチン接種が進み始める2021年の春から夏にかけては、消費者の気持ちも少しずつレジャーに向き始め、コロナ前とは異なり近場で楽しめるアウトドアレジャーの人気が高まることが予測されます。

これらの市場はニッチで、すそ野が広いため、個人の起業者でもアイデア次第で多様な新サービスを立ち上げることができるので、今年目玉となる「事業再構築補助金」などもあって、中小企業にはビッグチャンスになる可能性が出てきました。

コロナを活かした新しいビジネスに、チャレンジしようではありませんか!

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