世界の労働者は2030年までにロボットによって8億人が失業する

先日、私が主宰するコンサルティング型経営者の勉強会「ランチェスター倶楽部」の新春ウェビナーを開催しました。

テーマは、「2021年 コロナ禍での日本の産業構造の大転換期について」です。

2017年に、コンサルティング会社のマッキンゼー・グローバルインスティテュート(MGI)が発表したレポートでは、2030年までには、世界でおよそ8億人の労働者が自動化ロボットによって仕事を奪われて、失業すると予測していました。

日本の政治家を見ていると、まったく危機感がないように見えますが、今、アメリカや中国をはじめ世界中で政治革命、産業革命が起きています。

第1次産業革命(18~19世紀)が起きた時から、人間がマンパワーでしていた仕事に動力などを使うことで最大化させ、それと共に技術が進化することで、労働者が関わる仕事の内容も変化してきたのが現代社会です。

2030年頃に向けての第4次産業革命では、ロボット、AI、自動運転車、仮想現実などのテクノロジーによる労働市場の変革が起きることになることは既に誰もが知っていることですが、そうなると自動化の影響を受けて人がする仕事の必要性がものすごく変わります。

自動化されるのは、低賃金・低スキルの仕事だけでなく、中程度から上級スキルの仕事にまで及び、影響を受けやすいのはマニュアルに従って物理的な作業や事務処理がされていた仕事で、現在の経済活動の51%が該当するそうです。
MGIでは、米国にある750以上の職業を分析して、将来の自動化率を算定しています。

このデータによると、最も自動化がされやすいのは「機械を操作する系」の仕事。

大型トラック運転手、工場のマシンオペレーター、建設工事の重機オペレーターなどは、将来の自動化率が80%を超しています。

また、工場の生産ラインで製品を組み立てたり、生産工程の管理、製品の品質検査などをする仕事も、80~90%が自動化されるそうです。

事務系では、「PCソフトやクラウドアプリを使う系」の仕事も自動化のターゲットとなり、経理処理や住宅ローンの審査業務などは、自動化率が70~80%を超えるという予測がされています。

数字を扱うことは、コンピューターが最も得意とする分野であり、複雑な計算業務でも人間の役割は少なくなり、時給単価は下がっていきますが、膨大な財務データを読み解く金融アナリストのような「分析系の仕事」は自動化率が低く、専門知識を高めることでAIの上位に立てる可能性があるそうです。

小売業の分野でも、セルフレジやeコマースの導入により、業務の自動化率は50%以上進みますが、新商品の開拓や取引先との折衝が必要になる仕入バイヤーのような「交渉系の仕事」は自動化できる余地が少なく、生き残るとみられていますね。

また、子どもの教育や人材育成をする「教える系」の仕事も、人に伝えたりコミュニケーションする能力が重視されるため、オンライン授業やeラーニングが普及する中でも自動化率は総じて低く、小学校教師の場合で自動化率は15%となっています。

どうやらハイテクか、人とコミュニケーションをとる必要のあるアナログかの、2極化するということのようですね。

世界のトップリーダー達が集まる世界経済フォーラムでは、「第4次産業革命で成功するために必要な10のスキル」として、以下のリストを挙げています。

第4次産業革命で成功する10のスキル

  1. 複雑な問題の解決能力
  2. クリティカルシンキング(批判的思考)
  3. クリエイティブな能力
  4. ピープルマネジメント
  5. 人間関係の調整能力
  6. エモーショナル・インテリジェンス
  7. 意思決定、決断ができる能力
  8. 他人(上司や同僚など)を助けられる能力
  9. 交渉力
  10. 認知的柔軟性
    ※出所:世界経済フォーラム

コンピューターが職場に普及した第3次産業革命までは、人間が機械に近い働き方を目指して生産効率を高めようとしてきました。

第4次産業革命では人間の能力を、AIやロボットが超すことになるため、人間は「より人間らしさ」を高めることが、ビジネスでも成功する秘訣であることを、上記のリストは示していますね!

あなたの会社も想像を超える「変化」をしていかないと、生き残ることができなくなる時代が近づいています!

参照資料:JNEWS.COM

※(第4次産業革命とは)
第4次産業革命とは、18世紀末以降の水力や蒸気機関による工場の機械化である第1次産業革命、20世紀初頭の分業に基づく電力を用いた大量生産である第2次産業革命、1970年代初頭からの電子工学や情報技術を用いた一層のオートメーション化である第3次産業革命に続く、次のようないくつかのコアとなる技術革新を指す。(内閣府のホームページより)

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