イノベーションは強い「企業価値」がなければ無理

新規の顧客に既存・類似商品を売る方策も見つからなければ、最後の手段として残されるのは「イノベーション」のみです。

新規商品を新規顧客・業界に売り込むという、ビジネスモデル4つのマトリクスの4ですね。

悲観的なことを申し上げるようで申し訳ないのですが、正直に言うとこの選択は極めて危険なものです。
営業効率が0.1にまで落ちるのです。

ほとんど、起業と同じです。

ですから、会社のM&Aも真剣に検討すべきです。
そのくらい危機的な状況にあることを認識してください。

それでもやはり、なんとしても会社を続けたいという強い動機と覚悟があって、初めて挑戦すべき事業なのです。

この時にカギを握るのは、御社の「強み」です。

これが本物であれば、成功の可能性が見いだせるはずです。

株式会社ディスコは、レコード針を製造する過程で磨き上げてきた「硬質なものをカットする技術」に絶対の自信がありました。
そして、その「強み」を活かせる場所を血眼になって探しました。
だからこそ、何社もあったレコード針製造会社のなかで、唯一生き残ることに成功したのです。

もし、生半可な「強み」であれば、生き残ることはできなかったでしょう。

次に重要なのは営業投資です。
ここで中途半端なことをする経営者が非常に多い。
このイノベーションに失敗したら、“必死”の状態なんですよね?
だとしたら、営業のエースをここに投入しなければなりません。

ところが、ついつい既存事業にエースを温存してしまう。
既存事業の売り上げが落ちるのが怖いんですよ。
その気持ちはよく分かります。
だけど、その既存事業に将来性が無いから、新規事業を企てるんですよね?
だったらそこに、エースを投入すべきです。

逆にいえば、その新規事業の可能性を本気で信じていないから、中途半端なことをしてしまうのです。
ならば、イノベーションなどという危ない道に踏み込むべきではありません。

もちろん、既存事業の売り上げもなるべく維持しなければいけません。
新規事業を成功させるには時間がかかります。
その時間を稼ぐためにも大切なことです。

ならば、既存事業の営業を「仕組化」しておけばいいのです。
エース営業マンの「属人性」に頼っているから、中途半端になってしまう。
誰がやっても一定の売り上げを立てられるシステムをつくることを心掛けるべきでしょう。

出典
河辺 よしろう『社長さん!税理士の言うとおりにしていると、会社潰れますよ!』
WAVE出版

ランチェスター戦略 経営実践塾
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