税理士の選び方

会社を設立する場合、税務署の届出から、税理士さんとのお付き合いが始まります。
法人の場合、正確に帳簿をつけることや決算処理などは、やはり会計事務所に依頼をすべきでしょう。
起業してしばらくは、できるだけ社外へ出ていくお金(資金)を最小限に抑えるべきです。
小さな会社の場合、何かあれば、代表者はすべての財産を注ぎ込むことになります。
したがって、ここで言う「社外」とは、会社と代表者個人のポータルを意味します。
少ない役員報酬でギリギリ我慢し、会社ではドカンと法人税を払うなんていうのはどうかと思うのです。

そのような場合、できたばかりの会社で、しかも地方小都市の小さな会社であれば、前年の決算書や年間の事業計画をもとに、役員報酬を使って、社外から流出する税金を抑えるべきです。
事業が本当に安定してから、しっかり法人税を払えばいいのです。
しかし、そういうアドバイスをしていただける税理士さんは、意外に多くはありません。
地方小都市においては、特にそうなのかもしれません。
都市部ほど競争が激しくないからでしょう。
逆に税理士や弁護士、司法書士という仕事こそ、地方小都市のほうが簡単に成功できるとも言えるのかもしれません。

税理士の中には、帳簿を正確に作ればいいとか、税務署よりの考えで無難に税金の申告をするのが仕事だと思っている方も少なからずいるでしょう。
地方小都市で急成長を望む場合、そのように考えている税理士とは、顧問契約を結ばないことです。
起業当初は、トータルの内部留保をどう確保するか、いかに無駄なく再投資を行うために資金をどう使うかを、適切にアドバイスできる税理士を選ぶべきです。

ちなみに、税理士登録することができる方法は、次の通りです。

  • 税理士試験において5科目合格した人による登録
  • 公認会計士試験に合格した人による登録
  • 税務署職員退職者の試験免除による登録
  • 大学院卒業者(税理士法改正により若干厳しくはなりました)

税理士登録者数は、全国で約70,000人に対して、年間試験合格者は、わずか1000人程度と言われています。
公認会計士を含んでも、いかに試験に合格した税理士が少ないかが分かります。
どの方法が悪いと言うわけではありませんが、経歴なども含めて税理士を選ぶべきでしょう。
知り合いだからとか、親戚だからなどで、安易に決めるべきではありません。
知り合いからの紹介であっても、どんな考えを持つ税理士なのかを見極めて選ぶことが大切なのです。
遠慮することはありません。
いくら会社を起業したばかりであっても、こちらがお金を払って依頼する側なのですから、選べる立場にあるのです。

私の場合、公認会計士である税理士の先生の事務所と顧問契約を結んでいます。
何人か税理士の先生方を抱えていらっしゃいますが、当社の担当の税理士は、税理士試験を突破してきた税理士の先生です。
月次の決算書は、その先生と打ち合わせをしますが、時折「経営コンサルタント」としてのアドバイスをしてほしい場合があります。
その時は、公認会計士の先生からアドバイスをいただいており、いわば税務のプロからと会計や監査のプロからの、両方からの指導を仰ぐことができます。
余分に経費がかかってしまいますが、従来の税理士としての顧問とは別に、公認会計士とコンサル契約をするという方法もあります。
この方法も、ある程度会社が成長した段階で考えてみるべきでしょう。

また、顧問税理士を選ぶ場合、厳しいこともはっきりと言ってくれる人を選ぶべきです。
経営者となると、だんだん自分の事に厳しく助言してくれる人が極端に少なくなってしまいます。
私の会社の場合、公認会計士である先生から経営コンサルタントと言う役割で、実に厳しくご指導いただいています。
中小零細企業、ましてや企業間もない会社では、経営コンサルタントの先生に払うお金はありません。
だからこそ、経営コンサルタントとしての位置づけで考えられる税理士を顧問とすべきなのです。
まず第一に重要なのは、税務ではなく会計だからです。

税理士は、経営者にとって経営の主治医とも言える重要なパートナー。
会社の成長度にも影響する税理士選びは、重要な選択の1つです。

出典:小原 隆浩:『コアラ社長の経営戦略』:週刊住宅新聞社

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