売り方は素直に考える

私はよく社長さんにこんな相談を受けます。

「一生懸命、営業しているんだけど、なかなか売れないんですよ。どうやったら売れるでしょうか?」

この質問を受けたら、私はいつも「何を」「誰に」「どこで」売ろうとしているのかを確認します。
ところが、ほとんどの方がはっきりと答えることができません。

それでは、私は答えることができません。

「〇〇の客層に、この商品を、○○地域で販売したのですが、どんな売り方が適しているでしょうか?」
という形でなければ答えようがないからです。

逆に、この3つが整合性ある形に整っていれば、自然と「売り方」も決まってきます。
というのは、「売り方」を決定するうえで重要なのは、「想定している商品、客層に対して最善のアプローチかどうか」ということだからです。

通信販売で有名な(株)やずやをみると、わかりやすいでしょう。

通信販売と言えばネット販売、と考えがちですが、実は、つい最近までは同社はネット販売には注力してきませんでした。
新聞折込を主力にしていたのです。

なぜか?

同社の客層が50代以上だったからです。

50代以上の人のパソコン利用率は低いというマーケティングデータに基づいて、ネット販売に対する投資を抑制してきたのです。
ネット販売は、同社の客層にアプローチする最善の方法ではないという判断です。

ところが、50代以上の通販で経営基盤を固めた同社は、もう少し低い年齢層の顧客へのアプローチを開始しました。
この新しい顧客層は、ネットへの抵抗感がありません。
そこで、初めてネットへの投資を拡大し始めたのです。

「ジョイ家電いまい」も、営業地域が限定されているうえに、客層のほとんどが高齢者ですから、一応ネットも立ち上げていますが殆ど重視していません。
むしろ、チラシ配布やポスティングに力を入れています。
そして、何よりも、お客様と身近に接する営業スタイルを貫くことが重要になります。

一方、大手家電量販店であれば、大量のお客様を呼び込まなければいけませんから、ネットで積極的に情報提供することは重要な戦略になるでしょうし、ときにはテレビ広告や新聞広告を打つことで、マスに訴えていく必要もあるでしょう。

このように、同じ商品を扱っていても、「客層」によってアプローチの仕方は変わってくるのです。

出典:河辺 よしろう:『社長さん!税理士の言うとおりにしていたら、会社つぶれますよ!』
WAVE出版

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