これからの社員は、給与収入+フリーランス型 で稼ぐ人が急増!

日本のサラリーマン社会では、2つの会社と雇用関係を結ぶ「2重就職」は不適切な行為として扱われてきましたが、それは利益相反の観点から会社が就業規則の中で独自に定めたものでした。
しかし、コロナ禍の拡大や政府が推し進める働き方改革が進む中で、副業を容認する風潮が高まってきています。
これは、人件費を削減したい企業側の思惑ともリンクして、一般的な働き方になりつつありますね。

バブルの頃は、DINKS(ダブル・インカム・ノー・キッズ)といわれ、都心に住む共働きのエリートな若い世代の夫婦がもてはやされましたが、現代のDINKSは一人がダブルワーク(副業)をして、子供が作れないという状況のようですね。

年齢別の平均給与額(年収)

年齢 男性 女性
20~24歳 284万円 249万円
25~29歳 404万円 326万円
30~34歳 470万円 315万円
35~39歳 528万円 314万円
40~44歳 581万円 319万円
45~49歳 635万円 313万円
50~54歳 682万円 322万円
55~59歳 686万円 298万円
60~64歳 537万円 242万円

※出所:平成30年分民間給料実態統計調査

大企業では、55歳前後で役職から外されて年収は下落傾向となり、やり甲斐の少ない仕事で定年までを待つことが既定路線になっています。
それでも、出勤は毎日しなくてはいけないため、会社にとっても社員側にとっても、有効な時間と人件費の使い方とは言い難い状態のようです。

みずほフィナンシャルグループ(FG)は、週休3日や4日の制度導入を検討していると報道されましたが、思い切った制度導入の検討の背景にあるのは、みずほFGが従来型の銀行ビジネスモデルに限界を感じていることからでしょう。

このような状況は、他の国内銀行にも必ず当てはまります。

基本的に、銀行の収益力は経済成長率に連動しやすい。
国内経済の低迷や低金利の長期化によって、利ザヤは縮小しコスト負担は増大化しています。
それに加えて、世界経済全体でIT大手企業が金融ビジネスに参入し、競争は激化している背景が存在します。

さらに、コロナショックが追い打ちをかけている状況です。

新たな就業制度として注目されているのが、短時間正社員制度の仕組みです。
これは、社会保険が適用される正社員の立場は維持したままで、週5日(週40時間)のフルタイム勤務から、週4日や3日の勤務に移行することで、他の日は副業や自己啓発に使うことを容認する働き方です。
厚生労働省でも、導入マニュアルを作成して、短時間正社員制度の普及を推進しているほどなのです。

短時間正社員制度の導入マニュアル(厚生労働省)

短時間正社員は、フルタイム社員と同等の条件で賃金も計算されることが法律で定められていますが、フルタイム(週40時間労働)の基本給が月額30万円の社員が、本人の希望により週4日勤務(週32時間)になった場合には、フルタイムの8割で月額24万円になります。
これは、時間単価でみると同等の扱い。

実収入では、2割の基本給ダウンとなりますが、成果報酬のオプションも加えることによって、仕事の実績によってはフルタイムと同等か、それ以上の収入が稼げるよう可能性を加えてあるのがミソです。
会社側では、短時間勤務+成果報酬により、社員の仕事に対するモチベーションは下げずに、基本給ベースの固定費を下げることができると考えられています。

短時間正社員の賃金体系

  • フルタイム(週40時間労働)の基本給……月収30万円
  • 週4日勤務(週32時間)=基本給30万円×80%+成果報酬
  • 週3日勤務(週24時間)=基本給30万円×60%+成果報酬

日本IBMでは、育児中の社員に限らず、全社員を対象とした「短時間勤務制度」を2004年から実施しており、勤務日数を減らした週3勤務や週4勤務、1日の勤務時間を6時間に抑えた時短勤務など、複数の就業パターンをすでに導入しています。

日本IBMの短時間勤務制度

時短正社員+フリーランスの働き方が一般化する!

時短正社員の仕組みを活用すると、週3日はサラリーマンとして出勤して、週末を含めた週4日をフリーランス(個人事業者)として活動する働き方も可能になります。

たとえば、フルタイムで年収600万円のサラリーマンが、週3日の時短勤務に移行すると、給与収入はおよそ360万円(600万円×60%)に下がるが、それを生活費のベースとして、フリーランスでは、自分のやりたい仕事にチャレンジすることで、自己投資に繋げるようなワークスタイルを築けるようになります。

日本でも最近はクラウドファンディングなどの直接金融の資金調達が可能になってきていますが、新規事業に出資を受けることは容易なことではありません。

ましてや、独立起業しても銀行がお金を貸してくれるわけでもなく、これがエリートサラリーマン幻想を日本に作り出してきました。

サラリーマンの方が安泰だ、一般の社員より公務員の方が給料が安定していて良い、という後ろ向きの職業意識です。

「給与収入+フリーランス型」の収益モデルでは、フリーランスの収入が給与収入を上回った辺りが、正式な独立を考えるタイミングと考えることができるのでリスクの少ない起業ともいえます。
逆に、フリーランスの事業が上手くいかないようであれば、勤務先でフルタイムの正社員に戻るという道も残されているからです。

しかし、中小企業がどれくらいフレキシブルにこういった新しい社員の働き方意識に理解を示せるのか?

時短政策と共に、新規事業の資金調達について社会が意識を変えないと、そういった新しい働き方もスピードの遅いものになりかねないでしょう。

(参照:JNEWS.COM)

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