商売人は怠けていないか

お客が商品を買い、その代金を商店が受け取ると、取引きは終了する。

これでヤレヤレと思うのがふつうだが、実はそのあとの気くばりが大切なのである。
お客にお礼の手紙を出すこと、それが気くばりだ。

お礼状によってお客が好感を持ってくれれば、次回もお店に来てもらえる可能性が高くなるからである。

売り場面積が狭く、立地条件が悪く、知名度もない。というような商店や会社は、このような人と人との結びつきを大切にすることを重視すべきであろう。

では、実際に商店は、お客にどれくらいお礼状を出しているか?

たばこ店や書店や喫茶店のように、氏素姓がわからぬ不特定客に商品を販売している業種では、お客に手紙を出せといっても無理な話だが、買回り品といわれる耐久消費財を販売している専門店等では、お礼状は出せる。

こういうお店で扱っている商品は、わりに値がはるため、お客の氏名と住所を教えてもらいやすいからだ。

そこで、手紙を出そうと思えば出せる業種を選んで、お礼状のアンケート調査を行った。

まずはアンケート調査の結果をじっくりと見ていただこう。

お礼状アンケート

(1)背広やコート類を買ったとき、店の方から心のこもった「手書き」のお礼状はきましたか
来た 3%    来ない 97%

(2)2万円以上の電気製品を買ったとき、店の方から心のこもった「手書き」のお礼状はきましたか
来た 5%    来ない 95%

(3)3万円以上の家具を買ったとき、店の方から心のこもった「手書き」のお礼状はきましたか
来た 5%    来ない 95%

(4)車を買ったとき、営業マンから心のこもった「手書き」のお礼状はきましたか
来た 6%    来ない 94%

(5)車を整備や車検に出したとき、整備会社から心のこもった「手書き」のお礼状はきましたか
来た 2%    来ない 98%

(6)損害保険に加入したとき、営業マンから心のこもった「手書き」のお礼状はきましたか
来た 3%    来ない 97%

(7)生命保険に加入したとき、営業マンから心のこもった「手書き」のお礼状はきましたか
来た 8%    来ない 92%

(8)自宅を新築したとき、住宅会社から年賀状はきましたか
来た 7%    来ない 93%

(9)自分の家の畳を入れ替えたとき、畳店から年賀状はきましたか
来た 0%    来ない 100%

(10)得意先接待でレストランを利用し、3万円以上の支払いをしたとき、「手書き」のお礼状はきましたか
来た 0%    来ない 100%

(11)経理課長・部長さんで、集金に来ている営業マンから「支払いの準備ありがとうございます」と心のこもった「手書き」のお礼状をもらった経験はありますか
来た 0%    来ない 100%

(12)会社でコピーかワープロを買ったとき、担当の営業マンから「手書き」のお礼状はきましたか
来た 3%    来ない 97%

(13)経理課長・部長さんで、支払先に「銀行送金」をしたとき、先方からと心のこもった「手書き」のお礼状をもらった経験はありますか
来た 0%    来ない 100%

(14)社長さんか専務さんで、商品を納入している営業マンかその上司から、心のこもった「手書き」のお礼状をもらった経験はありますか
来た 0%    来ない 100%

(15)仕入れ先か販売先にお菓子や手みやげを持って行ったとき、相手から心のこもった「手書き」のお礼状をもらった経験はありますか
来た 2%    来ない 98%


さんさんたる結果であった。お礼状をもらったという経験者があまりに少ないので、はじめは「まちがい」ではないか、と思ったほどだった。

しかし、アンケート解答の人数が多くなるにしたがってまちがいではないことがはっきりした。

売りっぱなしで、そのあとのフォローは全然やっていないのが実情なのである。
これでは売上げは伸びないし、大手との競争に負けるのは当然だ。

手みやげをもらったらお礼状を出せ

経営者や会社幹部が、仕入先や販売先を訪問するときにお菓子を手みやげに持っていくことがよくあるが、このときお菓子をもらった相手がどのぐらいお礼状を出しているかというと、答えは0%に近かった。

お菓子をもらって食べたほうは、お菓子が体を通り抜けてしまうと、そのことをコロッと忘れてしまう。

ところが、お菓子を持って行ったほうは、なかなか忘れない。菓子店に行き品定めをし、お金を渡し、領収証をもらう。
電車で目的地に着くまでは、そのみやげを忘れないように気を付けているから、本人はよく覚えているものである。

おみやげを持って行ったからといって、何もお礼状を期待しているわけではなかろうが、何かをもらったほうは、人間としてもお礼状を出すべきだ。

こういうことがきちんとできている会社は、お客に対してもやるべきことはきちんと実行する会社である。

とにかく、人間として感謝の気持ちを忘れたのでは、長期的に発展するはずがない。

〈参考〉
まごころを伝える 一枚のはがきで売上げを伸ばす法
著者:ランチェスター経営 竹田陽一
中経出版

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