あなたにとって、コロナ禍ではじまったこの一年は、どんな年だったでしょうか?
2022年には、金融緩和や需要の回復によって、世界的なインフレ傾向が大きくなっていきそうですね。
世界では、コロナ禍で進めてきた超金融緩和政策から、徐々に抜け出していくテーパリング(tapering)があるとみられています。
テーパリング(Tapering)は、直訳すると「先細り」や「次第に先が細くなっていくこと」という意味で、金融用語ではQE(量的緩和)の縮小を意味します。
具体的には、各国が政策金利を段階的に引き上げていくことで、市中で膨張したマネーを回収する行動に出ると見られています。
この背景にあるのが、物価が高騰するインフレが急速に進行していることです。
米国労働統計局が発表する消費者物価指数(CPI)では、2021年12月の物価上昇は前年同月比で6.8%となって、カテゴリーによっては、価格が20~30%上昇している生活用品もあり、消費者の生活に深刻な影響を与えはじめています。
とくに、日本ではアメリカの金利上昇などが来年おきると、円安傾向になる可能性が強まり、食品やエネルギー、資材などに関わる調達コストが大きく上昇する可能性があります。
米国消費者物価指数(CPI)の推移
- 2020年3月……1.5%(前年同月比)
- 2020年6月……0.6%(前年同月比)
- 2020年9月……1.4%(前年同月比)
- 2020年12月……1.4%(前年同月比)
- 2021年3月……2.6%(前年同月比)
- 2021年6月……5.4%(前年同月比)
- 2021年9月……5.4%(前年同月比)
- 2021年12月……6.8%(前年同月比)
商材別の物価上昇(2020年11月→2021年11月)
- 食品
・牛肉ステーキ…………24.6%
・ハム、ソーセージ……12.9%
・野菜、果物…………… 5.8%
・鮮魚……………………10.6%
・フルサービスの食事… 6.0% - エネルギー
・ガソリン………………58.1%
・電気…………………… 6.5%
・ガス……………………25.1% - 家庭用品
・家電製品……………… 5.5%
・家具…………………… 9.9%
・リネン用品……………10.7% - 衣類
・男性用アパレル……… 7.6%
・女性用アパレル……… 4.2% - 車両
・新車……………………11.1%
・中古車…………………31.4%
・レンタカー……………37.2%
※出所:米国消費者物価指数(CPI)
CONSUMER PRICE INDE(CPI)NOVEMBER 2021
米国の物価インフレは、過去40年間で過去最高の上昇率となっています。
1970~80年代にかけては、2度にわたるオイルショック(石油危機)によるインフレを世界は経験していますが、この時には中東地域の紛争が主な要因となっていました。
今回は、新型コロナによる自然の脅威がインフレ誘発の引き金となっている上に、環境問題による資源価格の上昇が物価高騰に拍車をかけていることから、各国政府が金融引き締めを行ったとしても、インフレが短期で収束するかは検討がつきません。
中央銀行が政策金利を引き上げると金利が上昇した国債や銀行預金にマネーに流れるため、株価や不動産相場は下落する性質があるといわれています。
物価高騰が続くようであれば、投資家は更に「インフレに強い資産」へと資金を移動させるため、バブル相場は当面続く可能性もあるといわれています。
今回のインフレは、オイルショックの時とは異なる物価高騰のパターンが形成されていて、それを理解することが、資産の目減りや収入の減少を抑えることに役立つと考えられています。
海運がネックとなるコロナインフレの特徴
世界で2021年後半から加速しているインフレの特徴は消費者の購買意欲が次第に戻りつつある中でも、製造業や小売業では人権問題による中国はずしによってサプライチェーンの混乱が収束せず、物資の調達コストが上昇していることが関係しているという見方もあります。
実際に海運主要航路の運賃は、コロナ前と2021年10月の比較で3~6倍に高騰しています。
海運コンテナの運賃推移
(上海→ロサンゼルス/40ft)
- 2019年12月…… 1,730ドル
- 2020年3月…… 1,740ドル
- 2020年6月…… 2,330ドル
- 2020年9月…… 4,020ドル
- 2020年12月…… 4,270ドル
- 2021年3月…… 4,920ドル
- 2021年6月…… 8,380ドル
- 2021年10月……11,240ドル
(横浜→香港/40ft)
- 2019年12月…… 870ドル
- 2020年3月……1,020ドル
- 2020年6月…… 930ドル
- 2020年9月…… 760ドル
- 2020年12月……1,180ドル
- 2021年3月……1,440ドル
- 2021年6月……1,510ドル
- 2021年10月……1,890ドル
※出所:日本海事センター
海運インフレの特徴
- コロナでコンテナ生産量の減少(主に中国)
↓ - 感染対策で貨物船の入港待ちが多くなる
↓ - 荷受作業員の人手不足→荷受け時間が長引く
↓ - 荷主は海運業者との交渉ができず、運賃が高騰
↓ - 運賃高騰のため輸入業者は仕入れ量を減らす
↓ - 商品は不足して小売価格が上昇
すでに国内では食品の値上げラッシュが始まっています、さらに来年は食品だけではなく、今以上に建築資材や材料コストが上昇することが考えられていて、中小企業には大変な1年になる予感すらあります。
来年のあなたのビジネスのビジョンはどんな風に描いていますか?