岸田総理が最近になって、衆議院選挙前の政党公約とは手のひらを返したような政策を打ち出し始めてきましたね。
そもそも、10月31日に選挙日を設定するなんて誰も考えておらず、岸田総理にしてみれば野党の選挙準備ができる前での奇襲作戦のような感じでした。
この国際情勢の緊迫した中で、G20も欠席しての衆議院選挙の日程を、いったい誰が予測したでしょうか?
日程がタイトになった為に高市早苗政調会長に政策の取りまとめを丸投げしたことで、高市氏ご自身がTwitterで発言をされていますが、5日間徹夜をして政策を書き上げたそうです。
岸田総理はこの高市氏の政策をまったく無視するかのように政治手腕を発揮して、選挙前の公約とはまるで受け入れられないような政治決断を続け続けています。
さらに、自民党の岸田総理の側近からは、高市氏の政策自体にケチをつける議員も現れて、これについて高市氏自身も「議員として無責任である」と発言されています。
「新資本主義への転換」といった岸田総理ですが実際には「米国型株主資本主義」と「産業の国外シフト」を加速させて、1990年代から続いた「産業の空洞化」に「雇用の空洞化」を国内で推し進める政策にしっかりと取り組んでいるようですね。
岸田総理の言う「日本への投資」とは、いったい何を指しているのでしょうか?
それは…
「企業利益を上げて外国からの投資を国内に増加させる」ということです。
そのために岸田総理はいくつかの政策を打ち出しています。
その政策の内容を簡単に言ってしまえば…
- 外国人投資家が日本の企業に投資をしやすい環境にするためにM&Aの要件の緩和
- 規制を緩和して現在9万人といわれているのを20万人に外国人経営者を国内に増やす
- SPAC(Special Purpose Acquisition Company)の設立ができるように法改正をする
実はこれだけではありませんが、今知っておかなければいけない内容として上げさせてもらいました。
SPACとは事業をおこなっていないペーパーカンパニーを上場させて資金調達をし、2年以内に企業買収をするというやり方です。
普通、事業もしていない会社が上場など当然することもできませんが、法改正でそれをするようにしていくのです。
SPACはすでに海外で米国などが始めていますが、移民の不法労働者雇用などで色々な問題を起こしています。
簡単に言ってしまうと、岸田総理が一生懸命取り組んでいることは日本の産業を育成するとか、日本が稼げる国になるようにするということではなく米国や中国のような資金力のある国に日本の企業の株を買ってもらって、株価を上げようとしているだけのようにも見えます。
しかし、そこで一つ庶民にとって大きな影響が出るのが「企業業績の上げ方」です。
岸田総理は「令和版所得倍増計画」などと適応なことを衆議院選挙では言っていましたが、企業業績の観点で見るとそんなに簡単なことではありません。
その理由は以下の2つを見比べてみてください、いったいどちらが良い経営者という定義になるかということを考えてみましょう。
- 利益を出すために非正規雇用の採用を増やして、人件費を固定費から変動費に変えることで利益を増やす
- 働く人の給与を上げて社員のやりがいやモチベーションを高めて、さらに成長を目指して利益を増やす
岸田総理が目指しているのは、間違いなく前者です。
1と2を2つの観点から見ると、よく理解できます。
1は「株主利益重視」、2は「社員重視」の経営ということです。
会社が簡単に利益を出そうと思えば、賃金を抑えることで実現できます。株主配当というものは税引き後の利益から支払われますので、給料を抑え込んでも最終的に手残りが多くなる会社が基本的には株主から「良い会社」といわれるわけです。
そのために、企業は非正規雇用の社員を増やして、利益の出やすい体質にこれからもしていくでしょう。
さらに、岸田総理は経団連からの要望で法人税の増加はしないと見られていますので、間違いなく所得税の増税を仕掛けてくると思われます。
サラリーマンはまさに現代の奴隷と化していくでしょう。
しかし、そのサラリーマンを救うのが「副業」です。
緊急事態宣言が解除され、国内のコロナワクチン摂取率も70%を超してきたことで、政府が推進するGo Toキャンペーンの第2弾もあり、外食や国内旅行を中心としたリベンジ消費も期待できる状況になってきました。
関連の業界では、削減したスタッフ人員を再び増員する必要も出てきてリクルートのジョブズリサーチセンターが行った調査でも、ワクチン接種の拡大で「アルバイト・パートの採用を増やす」と回答した事業者は、2021年10月の時点で37.8%となっています。
ジョブズコミュニティーレポート 2021年10月号(リクルート)
しかし、コロナが完全収束したとは言えず、これから再度感染拡大が起きることも想定して、人材採用は慎重に行っていく必要があありポストコロナの時代には、繁忙期と閑散期の差を埋める労働力として、アルバイト・パート人材よりも柔軟に活用できるオンデマンド人材への需要が高まっているそうです。
レストランが臨時スタッフを3名増員したいというニーズに対しては、従来型のアルバイト採用だと求人広告の掲載→応募受付→面接→採用までに、短くとも数ヶ月の期間はかかりますし、求人広告を出しても応募がゼロというケースも少なくありません。
当日のアルバイトが集まらないために、営業時間を短縮したり、臨時休業をする店も多いのが現状です。
そこで求められるのが、Uber EATSで働くデリバリースタッフのように、時間単位で必要な人員を招集できる仕組みになってきました。
サラリーマンが副業でしている人も、とても増えてきています。
雇用契約は結ばずに、個人請負による案件ベースの受注、または希望の日時のみ働けるスタイルは「ギグワーカー」と呼ばれていて、米国では労働者の36%が本業または副業として関わり始めているそうです。
ギグワーカーに適した仕事は、ソフト開発、ライター、データ入力など、デスクワーク系フリーランス職の他に、UberEATSのようにアプリで希望の日時を予約して出勤するオンコール系の仕事がありますが、今後は日本でも、オンコール系ギグワーカーは、アルバイト・パートに代わる労働力として普及していくことが予測されています。
国内の労働市場内訳(2020年)
- 正社員……………3539万人(62.9%)
- 非正規……………2090万人(37.1%)
内訳
- パート……………1024万人
- アルバイト……… 449万人
- 派遣社員………… 138万人
- 契約社員………… 279万人
- 嘱託……………… 116万人
- その他…………… 85万人
○雇用者総数………5629万人
※出所:労働力調査(2021年)
ちなみに米国では、アルバイト、パートタイムで働く人が労働者全体の22%と、日本(約37%)よりも低いことを知らない人も多いのではないでしょうか。
海外では、Uber、Amazon Flex、Instacartなど、個人請負のギグワーカーを採用して独自のサービスを提供する企業が成長してきたが、最近の新たな動きとして「on-demand staffing(オンデマンド派遣業)」の形態が登場してきているそうです。
地域の企業や店舗に対してギグワーカーを派遣するサービスで、既存の食品スーパー、物流業者、小売チェーン、製造業の工場などが導入し始めていてテンポラリー(一時的)な個人事業者として働くため、従来のアルバイトや派遣社員とも違い、雇用契約の縛りも無く、必要な日時に柔軟な人材調達ができることが、働き方の多様性になっています。
ギグワーカーとして働く側も、履歴書の提出や面接を省いて、自分に都合の合うシフトで勤務したり、複数の職場を掛け持ちして働くことも容易なためフリーランスの新たな就労形態としても定着してきており、まさに竹中平蔵氏の目指す「働き方の多様化」を目指す社会になってきたわけです。
岸田総理が推し進める政策とは、海外からのM&Aを加速して20万人を超える外国人経営者を招聘(ビザ緩和もされます)して、そこで働く日本人には低賃金と増税、社会保険料の増額を強いていくというものです。
私の知り合いでも大手自動車メーカーに勤務しながら高給をもらいつつ、奥さんを社長にして会社を設立してかなり裕福な生活をしている人が増えてきました。
中小企業で社員を雇うときもそういった「雇われる側」の時代変化を理解して採用活動をしていかないと、厳しい時代になったようですね。