2030年までに日本が必ずしなければEV化の実現ができないこと

スモール・モジュール・リアクター(SMR)に未来を掛ける日本の官僚たち

菅政権は、2030年代半ばまでに国内の自動車新車販売を100%EV車に切り替えると世界に宣言して、支持率を落とす要因をつくっています。

そもそも、世界の環境問題は日本の炭素排出量とかの問題以上に、中国とアメリカが積極的に規制をすればほぼ解決する問題です。

エネルギー起源CO2(各種エネルギーの利用時に発生したCO2)の排出量(2018年)

順位 国名 排出量(100万トン)

  1. 中華人民共和国(中国) 9,570.8
  2. アメリカ合衆国(米国) 4,921.1
  3. インド 2,307.8
  4. ロシア 1,587
  5. 日本 1,080.7
  6. ドイツ 696.1
  7. 大韓民国(韓国) 605.8
  8. イラン 579.6
  9. カナダ 565.2
  10. インドネシア 542.9
    出典:International Energy Agency (IEA) – CO2 Emissions from Fuel Combustion Highlights (2020 Edition)

中国は、石炭燃料が未だに主流を占めていて、日本と比較したら10倍近い排出量があるわけです。
EUが問題視するアメリカとしても、なんと2倍もあるわけです。

しかも、中国は2035年にはロードマップとしてHV車50%、FCV車(燃料電池車など)50%という目標を発表しています。

日本では、この菅政権の方針発表から、ホンダは2040年までに世界での新車販売全てを電気自動車(EV)と燃料電池車(FCV)に切り替えると発表しました。

ハイブリッド車(HV)も含め、走行中に二酸化炭素(CO2)を排出する新車の販売はやめるという方針に舵を切ったわけです。

同じような動きは、米ゼネラル・モーターズ(GM)やスウェーデンのボルボ・カーなども表明済みで、世界的な脱炭素の流れをうけ、自動車各社が具体的な戦略転換に動いている感じになってきたわけです。

新車販売全てをEVとFCVとする計画を出したのは、国内の自動車大手ではホンダが初めてで、2020年の世界販売台数は445万台で、EVとFCVの販売比率は合計で1%未満だったものを一気に高めていくということのようです。

しかし、エネルギー政策不在の日本で、ほんとうに一企業であるホンダに、それは実現可能な目標なのだろうか?

おそらくホンダは、政府が水面下で進めている「革新的な原子力技術」といわれる「小型モジュール炉」です。

SMR(Small Modular Reactor)とも呼ばれ、世界各国で開発が進められていて、特徴をキーワードであらわすとすれば、「小型」「モジュール」「多目的」の3つがあげられます。

小型原子炉SMR(Small Modular Reactor)が日本のエネルギー政策の救世主?!

原子炉を「小型」にすると、大型の原子炉よりも冷えやすくなり技術的に言えば、小型炉は体積の割に大きな表面積をもっているために起こる現象なのですが、たとえて言うなら、
「同じ運動をしても子供や痩せている人のほうが体温を外へ逃がしやすい」
というイメージでとらえればいいでしょう。

この特性を突きつめていくと、原子炉に水をポンプで入れて冷やさなくても自然に冷えてくれる、といったことも可能になります。
実現すれば、安全性が高まるうえに、原子炉全体を簡単な構造にすることができ、メンテナンスもしやすくなります。
その結果、コストの削減ができ、経済性も向上する可能性があります。

「モジュール」については、「モジュール建築」、いわゆるプレハブ住宅をイメージして考えてみるとわかりやすいでしょう。
プレハブ住宅とは、規格化された部材一式を工場で生産し、さらに組み立てユニットまで作ってしまうもの。
現地ではこのユニットを、ブロックを積み立てるように設置します。
自然条件に左右される現地でゼロから作るのではなく、ある程度のところまでを工場で生産・管理することで、高い品質管理や短い工期、コスト低減を実現している工法です。
参照「経済産業省 資源エネルギー庁ホームページより」

現在、色々な小型原子力開発の技術が世界中で進められていますので、その内容を「経済産業省 資源エネルギー庁ホームページ」よりご紹介します。

NuScale SMR

米国NuScale社はSMR開発の先駆者の1つで、これまで米国エネルギー省からの支援を得ながら
開発を進めています。
初号機の建設はアイダホ国立研究所(INL)の敷地内に計画されており、米国の原子力規制委員会での
審査も最終段階にあります。

特徴
  • モジュールの出力は6万kW、通常の「加圧水型」原子炉の1/20程度
  • 最大12個のモジュールを大きなプールの中に設置
  • 1モジュールは、「圧力容器」「蒸気発生器」「加圧器」「格納容器」をふくむ一体型パッケージで、大型の冷却水ポンプや大口径配管が不要
  • 各モジュールは、それぞれ独立したタービン発電機と復水器に接続
  • 小型化と一体化を図ることにより、大規模な冷却材喪失事故のリスクを回避
    (提供)NuScale Power社
BWRX-300

日立GEニュークリア・エナジー社と米国GE Hitachi Nuclear Energy社はSMRであるBWRX-300を開発中です。
同社は、原子力発電所の設計・製造経験と、さまざまな製品のモジュール製造経験が豊富で、その経験を活かした原子力イノベーションを進めています。
米国でBWRX-300初号機の建設をめざして、米国原子力規制委員会にはすでに安全審査項目に関する技術レポートを提出しています。
また、カナダでの建設も視野に入れ、カナダ原子力安全委員会でも審査を開始しています。

特徴
  • 従来の「沸騰水型」よりもさらに構造が単純で、建設コスト、運転コストの低減が可能
  • SMRのメリットである低い総建設費、工場完成一体据付、建設工期短縮のメリットを生かして資本リスク、建設リスクの低減が可能
  • ガス火力並みの価格競争力を持ち、米国のガス火力発電プラントの建て替え需要も視野にリストアイコン 圧力容器と一体になった弁を採用し、大規模な冷却材喪失事故のリスクを実質的に回避
    (提供) GE Hitachi Nuclear Energy社
PRISM

PRISM(Power Reactor Innovative Small Module)も米国GE Hitachi Nuclear Energy社が開発するSMRですが、こちらは原子炉の冷却に水ではなくナトリウムを使った原子炉です。
「高速炉」と呼ばれるタイプの原子炉で、従来の原子炉と比べて廃棄物の有害度が低く、量も少ない、ウラン資源を有効活用できるといった特徴があります。
米国エネルギー省は、PRISMをベースとした熱出力30万kWの多目的試験炉(VTR)を、アイダホ国立研究所に建設し、2030年までに運転開始する計画を推進しており、これがPRISM型の原子炉の第1号になると見られています。

特徴
  • 空気の自然循環を利用して熱を冷やす方式を採用し、高い安全性・信頼性をもつ
  • 高速炉は大気の圧力(大気圧)と同程度の圧力で運転されることから、冷却材喪失事故やそれにともなう格納容器内の圧力上昇が発生しない
  • 出力あたりの原子炉建屋の大きさは、「加圧水型」や「沸騰水型」のSMRよりもさらに小さい
  • 高レベル放射性廃棄物の体積を減らすことが効率的にできる
  • 炉心温度が高く、軽水炉型にくらべて熱効率を飛躍的に向上できる

小型原子力開発の技術の進化がEV普及と密接にかかわっている

100%、EV車の時代を見据えた時、トヨタ自動車の社長によれば国内に原子力発電で後10基、火力発電であればあと最低20基は発電能力の生産が必要であるという試算がされている。

その一つの答えが「小型原子力」であり高い安全性・信頼性の高い技術での解決なのです。

1900年代の初頭にT-型フォード車が発売されてからたった5年ほどで馬車が消えたように、EVや新燃料電池車はガソリン車を完全に凌駕してしまうのでしょうか?

あなたはどう思いますか?

参照 JNEWS.COM

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