コロナ・ショックで生活が一変してしまいましたね。
一変したのは生活だけではありません。今まで世界的な広がりを見せてきた「グローバリズム」というものが、コミュニズムのための道具であることが白日の下にさらされるようになってきました。
その大きなうねりは「米中貿易戦争」という名前の陰でアメリカ、イギリスを主体とするファイブアイズ(カナダ、オーストラリア、ニュージーランド)にフランス、ドイツ、日本がぶら下がる形で新しい連合が生まれようとしています。
今後の世界の潮流を読み解き、ビジネスでの判断をより正確に早くしていくためには、中国の動向をよく見ていくことが重要です。
果たして、今までのように世界の覇権に執着する中国は香港弾圧など、これまでのやり方を変えないで突き進むことができるのでしょうか?
今日は、今の中国の経済の状況について考えてみたいと思います。
そもそも中国は管理変動相場制を採用しています。
新興国は一般的に管理変動相場制から経済規模の発展に伴って変動相場制に移行するのが普通の流れですが、中国は管理経済のコントロールのために未だに新興国の立場を貫いています。
しかし、管理変動相場制を維持するのは容易ではなく、何らかの事情で「元の流出」の動きが強まると通貨当局は、市場の動きとは反対の「元買い」の市場介入を実施して元安を止めようとします。
人民元を支えているのは莫大な外貨準備高。
その規模は世界一で約3兆ドル。(日本は2位で約1兆4,000億ドル)
中国の外貨準備は14年6月末に過去最高の4兆ドル弱に達して以降、人民元安と資本流出が加速して急速に減少した。
17年1月末には3兆ドルを割った。その後は資本規制を強めたことで資本流出が減り、外貨準備も安定を取り戻した。17年以降は3兆ドル強で推移する。
(2020/1/7 日経新聞)
という状態であったが、ここにきて今回のトランプ大統領の制裁決議。
今まで中国は、世界の工場として海外にモノを売って外貨を獲得してきました。
その貿易で獲得した外貨準備高(米ドル)に比例して元を発行、価値を担保して米ドルの外貨準備高に連動して元の発行を伸ばしたのです。
ではなぜ、中国の外貨準備高は世界一の水準を誇っているはずの中国が元安を恐れるのでしょうか?
輸出に依存する中国は、外貨準備高3兆ドルでは急な輸出減には対応できないといわれています。
つまり、会社の手持ち資金が足りなくて倒産するようなものです。
それに、ここ数年で外貨準備高が急激に減少してきている上に、アジアの新興国に生産拠点が移行し始め貿易が減少してドルが稼げなくなっており、輸出促進のために1ドル=7元を超えることを黙認しはじめたからです。
人民元安が進めば、さらなる資本逃避が進み、景気悪化とさらなる元安が起きるという悪循環の可能性が高くなってくることが最大の恐怖です。
さらに、コロナによる世界貿易の縮小が中国の輸出を急激な減少に向かわせています。
中国としては、元安に振り過ぎるとインフレになり国内経済の安定が保てなくなるので、急激な元安は困りものです。
しかし、それ以上にモノが輸出されないで米ドルが確保できないのはもっと困りものなので、本当は元安にしたくないけれども、ある程度元安にしないと輸出が伸びません。
その状態で、現在の中国の外貨準備高は自国の規模と比較して不十分だということです。
会社の売上が減少して固定費が支払えなくなる状態で倒産するのと似ていますね。
世界貿易が縮小する中で今回のトランプ大統領の「関税や渡航の優遇措置を取り消す」と明言したことは、さらなる人民元安を誘引し中国のドル不足を招きます。
そうなると、今後の中国では間違いなくインフレになっていき、それ以外にも国際金融マーケットとしての香港は国際金融市場として透明性の担保などの問題で評価がされなくなります。
この状態が長期間続くと、中国国内ではハイパーインフレになる可能性も大いにでてきますね。
相変わらず成長を中国市場に委ねようとする日本の与党の主流派とトヨタなどの企業群。
経団連も経済同友会も、この路線を変える気はまったくないように見えますね。
しかし、今後の日本はアメリカを主体とするファイブアイズの連合に入るのか、相変わらず中国の共産党への忖度で経済を発展させていこうとするのかまさに判断を世界から迫られています。
アメリカはすでの中国にコントロールされているWHOからの脱退だけではなく、世界の5Gマーケットから中国を締め出す方針を発表し、イギリスも自国での新技術開発に舵を切り出しました。
さて、あなたはどんな風にこの状況の行く末を考えていますか?