米国の対中政策が日本の製造業に与える想像を絶する影響がはじまる!

今年に入って、米中貿易戦争が少しトーンダウンしているように見られている方が少なくないと思いますが、水面下では後戻りできない状況が静かに進行しています。

国内で米中貿易戦争がトーンダウンしたように見えるのには2つの理由があります。

1つは今年の秋、大統領を選出する中間選挙が行われることに伴うトランプ大統領の一見沈静化して見える状況。

もう1つが、日本国内マスメディアの中国などへの忖度による鎮静化演出です。

しかし今後は、製造業などは広範囲にわたってアメリカの対中対応の影響が出てきて、日本はその影響を直撃するようになるでしょう。

製造業を例にして簡単に説明させていただきます。

2018年8月に米国防権限法が成立しました。
これは米国が海外への技術流出や移転を厳しく審査する政策に転換した具体的な舵きりです。

そして2019年3月
「現在の危機に関する委員会:中国(Committee on Present Danger : China)」
⇒「現在の危機に関する委員会(CDP)」が発足。

そしてアメリカ国防権限法で、2019年8月13日より米国はエンティティリスト(EL)なるものを作成し米商務省は輸出管理法に基づき、国家安全保障や外交政策上の懸念があるとして指定した企業をリスト化しました。
→その企業はどんどん数が増えています。

このリストにリストアップされた企業から資材を購入している製品は、アメリカの政府関係機関すべてにおいて納入を拒否されるようになっています。

そして、2020年8月13日から『日本企業は、エンティティリスト(EL)に記載された企業からの部品、製品調達に厳密な注意が必要となる。』

これはリストにのっている企業と取引をしているだけで、その会社から国政府関連機関へのすべての製品納入が不可能になってしまうのです。

さらに3次サプライヤーまで厳しくチェックされるという付帯条件付き。

日本の自動車、航空、通信分野を中心として影響を受けない筈がない状況になっているこの大きな問題は、国内のマスコミの報道では一切聞くことができません。

他にも中国資本によるM&Aに関わる資本規制もアメリカは強化してきます。

特に影響を大きく受けると見られている分野は以下の通りです。

  1. 次世代情報技術(IT)
  2. 高機能NC工作機械とロボット
  3. 先端鉄道交通設備
  4. 海洋エンジニアリング設備とハイテク
  5. 省エネ・新エネ自動車
  6. 電力設備
  7. 農業設備
  8. 素材バイオ医薬と高性能医療機器

お気づきの方もいらっしゃると思いますが、実はこれは中国が一帯一路で進めようとする、「中国製造業2025」の重点分野です!

これに関わる日本の産業分野は間違いなく大きく巻き込まれていくことが、予想されます。

「一帯一路構想」をスローガンに「中国製造業2025」とは、17世紀半ばから19世紀にかけて中国は「屈辱の世紀」と総括し、今後「中華民族の偉大な復興」させ国際秩序の上に北京が君臨することを高らかに宣言したわけです。

これに対してアメリカ側は、中国の「一帯一路構想」とは、東インド会社のサル真似でしかなく、『中国製造2025』は、欧米日の高度な生産技術を北京が吸い上げ、各国仕様に販売していくサプライチェーン化を目指していると糾弾しています。

スティーブン・バノン氏が「東南アジアは東インド会社などを通じて搾取される側だったが、逆バージョンで、中国共産党が胴元になっている仕組みに過ぎない。」とまで明確に公表するところまで、両国の関係は抜き差しならないものになっています。

日本の産業を支える自動車産業をはじめ、各種の先端産業がアメリカから「踏み絵」を求められることは明確です。

2020年はアンテナをさらに高くして、会社の成長戦略にしっかり取り組みましょう!

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