はがきを出さない6つの理由
お客とのコミュニケーションを深めるには手紙を出すのが1つの方法だが、現実はほとんど出していない。なぜ手紙を出さないのか。
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面倒くさい・・・怠惰性手紙放置症
手紙に限らず、実行しなければならない、とわかっている仕事もやりたくない。
すべてにわたって、ものぐさ、面倒くさがり屋のため、時間はたっぷりあるのに手紙を出さずに怠けている。これを怠惰性手紙放置症という。 -
なんとなく手紙が好きになれない・・・手紙シラケ症
自分は怠け者でもなければ、面倒くさがり屋でもない。仕事はよくやっているのに、お客さんに手紙を出すのが、どうもシラケて見えている。
なぜだか手紙が好きになれず、手紙を出していない。手紙シラケ症だ。 -
時間がない・・・時間性手紙拒絶症
はがきに書くと、15分~20分はかかる。途中でまちがって書き直せば、これ以上に時間がかかる。時間上の負担感が大きく、これが原因ではがきを出さない。時間性手紙拒絶症だ。
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字がヘタ・・・ヘタ字性手紙恐怖症
ひどいヘタ字で悩み、手紙を書くことに恐怖心を持っている。自分の書いた字を自分で見て、ゾッとする。これをヘタ字性手紙恐怖症という。
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漢字を知らない・・・ウソ字性手紙心配性
漢字を知らず、ウソを書いたらカッコウが悪い、という心配が絶えずつきまとい、手紙を出すのが嫌になっている。これをウソ字性手紙心配性という。
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文章に自信がない・・・プライド性手紙逃避症
手紙に書く文章をどう書いてよいかわからない。ヘタな文章で手紙を出したのではお客さんから笑われるのではないか、というプライド性手紙逃避症。
手紙をだすことの必要性はわかっていても、手紙を出さない原因はこの6つに絞られる。
もしあなたが、手紙を出していないとすれば、どの項目が当てはまるだろうか。
1つだけ?それとも合併症でかなり重症だろうか。
はがきを多く出せるようにする秘訣
この6つの原因を解消すると、手紙が出せるようになる。
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面倒くさい → 自分にノルマを課す
面倒くさがり屋や怠け者が何かをなすには、自分に強制、つまりノルマを課すしか方法はない。
取りあえず4週間を手紙週間とする。そして1日5通出すと決めたら、24日分で120通、はがきを買ってきてドサッと机の上に置く。
朝の仕事はじめに、昨日の出来事を思い出して5通書く。
手紙書きの仕事を終えて、しかるのちに平常の仕事にかかる。
手紙の目標を立てたことを奥さんに話し、これを実行するように力を借りるのも1つの解決法である。
幸いにして、ツヨーイ奥さんがいる人は、ノルマが達成できなかったら、奥さんに蹴飛ばしてもらえば、その恐怖心からやむなく実行する。
要するにものぐさの解決は自分に対してどのような方法で強制するかの工夫にかかっている。とにかく手紙を出すことをノルマ化することが第一で、内容はその次でよい。
こうして4週間も実行すると、手紙を出したお客さんからお礼を言われるから、それがまた実行の励みになり、ものぐさ治療の特効薬となる。
自らに課す強制が行動を促し、お客からの賞賛が持続の力となる。 -
なんとなく手紙が好きになれない → 素直に考える
この病気にかかりやすい人は、頭デッカチで、自分中心に考える人が多い。
お客が、ややバカに見えるために、どうしても自分が素直になりきれないのである。
これを解決するには、世の中、自分の考えとは同じ人ばかりではない、ということをまず認識するべきだ。自分の価値観ですべての人を見ようとしないことだ。
何よりも、商品を買うかどうかの権利は、お客が100%もっており、自分はゼロ、という事実をはっきり認識することである。
お客に対しては素直になるしか方法はないのだ、という気持ちになって、とにかく手紙をだすことを最優先にしたらよい。 -
時間がない → 100文字以内で書く
手紙を出すのはよいが、時間がかかりすぎるのでどうしても負担になる。
はがきだと15分以上、20分はかかるから、これでは続かない。
文章は普通の人で1分間に40字、遅筆でも30字くらいは書ける。
普通のスピード(3分間)で書くには、字数を制限して100文字以内にまとめると良い。ゆっくり書いても4分間で済む。
それには、原稿用紙のマス目をはがきの裏に印刷するとよい。
私はこのはがきを「電報はがき」と名づけた。
電報とついているからカタカナで書くわけではなく、普通の文字で書く。
電報はがきは98文字でパッと出せるし、またマス目に入れて書くのでヘタ字でも読めるような字で書けるのが特徴だ。
しかし、年がら年中電報はがきばかりでは肩がこるから、ときにはイラスト入りはがきを併せて使うとよい。イラストはがきは、線を粗く引き、150字から200文字でうまく収まるようにして作る。まず5分程度で書ける。
このように自社専用のはがきを作っておくと、パッと出せるようになる。
時間性手紙拒絶症の人は、専用の「パッとメール」を作ることが実行の条件になる。 -
字がヘタ → 続け字にせず1字1字書く
字がヘタであることは、ひけ目を感じ、言い知れぬコンプレックスを抱くものだ。これがエスカレートして、手紙を出すのが億劫になる。
あまりヘタな字で手紙を出すと、お客から人格を疑われるのではないだろうかと思い悩むからである。
しかしその心配はいらない。ヘタな字はお互いさまだ。自分の字がヘタなのにかこつけて、お客にお礼状を出さないことのほうがもっと悪い。
字の上手ヘタよりも、手紙を出すスピードとタイミングのほうを重視すべきなのである。とはいえヘタ字の解消はやっかいだ。自分の字を見て、一生こんなヘタな字を書き続けるのかと思うと、うんざりする。
しかし、ヘタ字はヘタ字なりに努力をしていけば、うまい人ではとてもマネのできない個性あふれる字が書けるようになる、とウソでもよいから信じることだ。信じるものは救われる。ヘタ字の人がはがきを書くときに注意すべき点
(a)ゆっくり書く
ヘタ字の人はどちらかというとあわて者やそそっかしい人が多いから、手紙を書くときはあわてずにゆっくり書くクセをつける。
(b)続け字にしない
ヘタ字の続け字ほど読みにくいものはない。手紙を受け取った人が、内容の解読に2日間かけるようでは困る。ヘタ字の人は続け字にせず、1字1字書くようにすると読みやすくなる。
(c)線にそって書く
読みやすくするには、線の入ったはがきを使い、線にそって書くと良い、ヘタ字で続け字を書くクセのある人は「横線」の入ったものを使うと、1字1字が読みやすくなる。
どうしようもないヘタ字という人でも、原稿用紙のマス目に、1字1字ていねいに書いていくとうまく書けるようになる。
また、ヘタ字ではないが豆字を書く人もいる。虫メガネがないと読めないような小さな字で、はがき1枚にレポート用紙5枚分くらいの字を書く人だ。
紙資源の節約にはなるが、お客に出すときは大きくしたほうが積極的に見える。ヘタ字の人は線が入ったはがきを使い。ゆっくり書くクセをつけるとヘタ字性手紙恐怖症は治る。 -
漢字を知らない → 辞書を引く
200文字以内の文章だと、自分の知っている範囲の感じで間に合うから、あまり心配はいらない。業種によって、使用する漢字の数はだいたい決まってくる。
知らない字が出てきたら、辞書をひけばすむことである。
自分専用の辞書をもち、何度も引く字には、マーカーペンで印をつけ、目につくようにするとわかりやすい。
どうしても面倒なときは、ひらがなでもかまわない。とにかく手紙を積極的に出す、ということを最優先にして考えることが大事なのである。 -
文章に自信がない → モデルを作っておく
文章に自信がないとどうしてもイヤになる。書いてみると自分が今までいかに本を読まず、勉強もせず食べて飲んで、寝てばかりいたか、しみじみ感じるものだ。
幼稚な文章で手紙を出せば自分の教養のなさがバレるのではないかと恐れおののき、かたくなに専守防衛をキメ込んで手紙を出さない人がいるが、その心配はいらない。
お客さんは達者でない文章のはがきが来たからといって、別にショックも受けないし、驚きもしないからである。
1番の問題は、こういうことを理由にして、出すべきお礼状を出さないことである。お客さんに1人でも多く、1通でも多くのお礼状を出すことを考えるべきなのだ。
このためには「モデル」の文章を前もって作っておくを気軽に書ける。これがプライド性手紙逃避症の治療法である。
以上の6項目を解決すると、お客さんにお礼状を出すことができるようになる。
合併症の人は治すのに時間がかかるだろうが、こういう人は会社に手紙を出す仲間をつくって励まし合いながら、時間をかけて治していくしかない。
≪参考≫ まごころを伝える「一枚のはがきで売上げを伸ばす法」
著者:ランチェスター経営 竹田陽一 中経出版