社長が理解しないと会社が潰れる「経営者」と「社員」の関係性!

社長が理解しないと会社が潰れる「経営者」と「社員」の関係性!

人手不足で労働力を募集しているだけの会社は、採用難倒産する時代へ

コロナ前の時代には、コンサルティングの仕事の傍ら、毎日国内だけではなく海外も含めて講演やセミナーなどで飛び回っていました。

朝、北海道にいたのに、夜には九州に移動しているという感じの生活です。

中国の武漢から世界に広まったコロナ禍によって、世界が一変してしまいました。

しかし、人間の多様性とは凄いもので在宅勤務やリモートでの商談が急増して、最近ではその影響でビジネスや営業のやり方も大きく変化してきています。

すでにリモートでのプレゼンやセミナーも当たり前になってきていて、働き手にとっては国の薦める「副業」という選択肢も大きく広がってきました。

リモートワークは、柔軟な働き方として社員からの支持率が高い一方で、会社との関係性にも大きな変化が生じさせています。中小企業も「経営者」と採用される側の「社員」の関係性というものが、根本的に変化してきているのです。

その中でも、正社員からフリーランスに変更したり、またその逆もあったりします。

「正社員→フリーランス」の場合では、在宅勤務をする時間帯や休日を自分の裁量よって決められるようになり、ワークライフバランスをより重視したい人に適しています。
当然、リモート主体ともなれば働く場所も自由に自分で決められることが可能になります。

さらに、フリーランスの場合には年収に対する給与控除額と所得税、住民税の税率が決まっているサラリーマンとは違い、自分の裁量で節税対策ができたりするメリットがあります。

フリーランスとしてのリモートワークでは、仕事場として利用する自宅の家賃、携帯電話、ネット回線、PC、デスク用品、移動が必要な仕事では自動車の購入と維持にかかる経費などを計上して、年間収入に対する実質所得を下げることも可能です。
実質所得が下がると、所得税率や健康保険(国保)の料率も下がるため、やり方次第では、サラリーマン時代よりも手取り収入を増やすことができますし、何より労働基準法に縛られて残業もできず年収を増やすことの道を閉ざされたサラリーマンとは違い、自分の努力でどれだけでも収入を増やすことが可能になります。

これに対して、フリーランスとは違い、サラリーマンとくに大企業の場合に勤めていると、雇用契約により長期的な収入が安定し会社の信用力や立場を利用して、大きな仕事ができるなどが大きなメリットになります。

しかし、大手サラリーマンの場合でも、昔言われたような厚生年金に加入して老後も安心できるとか、福利厚生が充実しているので個人フリーランスよりも人間関係が充実するなんてことのメリットは薄らいできているのも、フリーランスの人が増えている大きな要因だと思います。

これは総じて「会社員でいることのメリット」が、社会変化によって低下してきていることが原因だと思います。

そもそも、雇われている立場では「好きな仕事、やりたい仕事」を自分で選ぶことはできないし、自分の努力で複数のクライアントを開拓しながら収入を増やしていくことも難しいのが現実です。

この時代、正社員といえども終身雇用が約束されているわけではなく、リモートワークの時代には、正社員の離職率も高くなって当たり前ではないでしょうか?

コロナ前の統計で、サラリーマンの平均勤続年数は日本が約12年、米国は約4年という差がデータであるのですが、リモートワークでは賃金条件よりも自分に合った働き方を優先する人が増えるため、コロナ後は国に関係なく、雇用の流動性は高くなるとみられているのです。

従業員の勤続年数(2017年)

日本 米国
1年未満 7.9% 22.3%
1~2年 15.1% 12.5%
3~4年 11.3% 17.6%
5~9年 19.8% 18.8%
10~14年 14.4% 11.6%
15~19年 8.9% 6.9%
20年以上 22.5% 10.3%
平均年数 12.1年 4.2年

※出所:データブック国際労働比較

そこに追い打ちをかけているのが、政府が推奨している「副業のススメ」です。

中小企業は、大企業と根本的に給与水準、福利厚生、退職金、年金制度で差がつけられています。
私の知り合いで、最近銀行を退職された方のお話を聞いていたところ、年金が4本あるとおっしゃっていました。

つまり、働く人にとっては「中小企業で長く働く」という「リスク」が存在しており、その「リスク」は、これからの時代には、ますます大きく差が開いていくということなのです。

ましてや求人募集で「人手不足募集」をしている会社は、いつまでたっても社長さんの希望するような
「良い人材(青い鳥症候群)」
が来てくれることは現実的にないでしょう。

下請けでモノを作っているだけ、昔からやっている仕事をいつまでも繰り返ししているだけ。

そんな会社に、若い能力のある人材が応募してくれる理由なんてあるのでしょうか?

これからの中小企業の人材募集は、
「働かせてやる」から、「会社の成長に手を貸してほしい」
に変えていかなければいけないと考えています。

この高齢化社会に「経験・実績の豊かな年配の人」は、「一緒に仕事に取り組んでくれる若い人」とどうやって出会うかということが重要だし、逆に「やる気のある若い人で経験不足の人」は、「経験・実績の豊かな年配の人」をどうやって自分たちのビジネスに取り込めるのかということが大切になってくるでしょう。

世界でも先駆けの“インターネットで手続きができる生命保険会社”として、2008年に出口治明さんと岩瀬大輔さんが創業したライフネット生命のようなイメージです。

出口さんは60歳でライフネット生命を起業し、新たな市場を開拓。
岩瀬さんは37歳で代表取締役に就任、著書『入社1年目の教科書』(ダイヤモンド社)はベストセラーとなり、“影響力のある経営者”として世間の注目を集めた方です。

そして、現在代表取締役を務める森亮介さんは、28歳でライフネット生命に入社して2017年に出口さん・岩瀬さんを含む経営陣から指名を受けて取締役に就任。
翌年には、34歳の若さで岩瀬さんから代表のバトンを引き継いだのです。

ビジネスをしていると、とかく同年代の人とばかり付き合う社長さんは多いと思うのですが、中小企業でも若い人を「ビジネスパートナー」として扱えるかという点で成長性は大きく変わると考えます。

最近、あなたは年代の違う人たちと、ビジネスの話ができていますか?

(参照:日経新聞)

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