社員の忠誠心って?

ここ数年、会社の社長が一番苦慮しているのが、採用と社員教育による戦力化。

何年か前から「採用が難しくなった」とか、「採用してもすぐに辞めてしまう」という悩みを持っている中小企業は、とても増えてきた。

つまり、会社に忠誠心をもって仕事に取り組んでくれないという悩みだ!

現在、国内では契約社員やパート・アルバイトとして働く非正規社員は全国2124万人で、役員の除いた雇用者の4割が該当するらしい。

そういった人たちを単純に労働弱者のように考えることが、そもそも今の時代の働き方からズレてしまっている。

約30万人の転職・就職者向け口コミサイト「OpenWork(旧Vorkers)」が、就労者を対象に行った調査によると、仕事に対する満足度では、正社員・非正規社員との間で大きな違いはないらしい。

未だに年収の面では、非正規は正社員より180万円程低いが、勤務形態の面では融通を効かせやすく、仕事に対するモチベーションを維持しやすいといわれている。

この問題に取り組んできた政府は、働き方改革関連法の中で「同一労働同一賃金」の原則を目指しており、社内で同じ職務に従事する者は、正社員と非正社員の間で基本給や賞与の待遇差を付けることを禁止する規定が、2020年4月から適用されることになった。
これは、社内で重要な職務を任されていながらも、非正社員だからという理由で時給単価が正社員よりも安い、という不条理な扱いを禁止するものだ。

最近、読んだ「転職と副業のかけ算」(MOTO、扶桑社)という本で、今の時代の変化で働く人の意識に対する答えを見つけた。

著者のMOTOさんは、地元の短大を卒業後、ホームセンターへ入社。
その時の年収は約250万円。

その後、リクルートや楽天など4度の転職を経て現在は、都内の広告ベンチャーで営業部長を務めて、本業年収1000万円、副業4000万円を稼ぎ出している。

ここで昭和のオジサンたちと違うところは、副業で4000万円稼ぎながらも、年収1000万円の仕事を辞めないところ。

昔だったら副業で4000万円も稼ぐようになれば、会社を辞めて独立というのが当たり前だったが、今の働く人は「VUCAの時代」といわれる現代では働き方が全く違ってきたのだ。

VUCAとは、
Volatility(変動性・不安定さ)
Uncertainty(不確実性・不確定さ)
Complexity(複雑性)
Ambiguity(曖昧性・不明確さ) の略。

今までは管理職に就ける実力がある人は、時間単価は高いが労働時間も長いため、高年収と引き替えにプライベートを犠牲にするしかなかった。

しかし多様な働き方が可能になる社会では、自分の裁量で「何時間働くのか」を設定して、自分にとって幸福な月収や年収額を設定できるようになる。

当然、年収を上げたい人はMOTOさんのように副業でどんどん稼げる時代になっていることが、今までの日本の就労形態というものをまったく違った価値観に変えていて、中小企業が採用に困っている大きな要因になっていることは間違いないだろう。

最近BS1スペシャルで、「中国ネットアイドル~巨大市場を動かす女性たち~」という番組が放送された。

中国では、“ワンホン”と呼ばれる、素人ネットアイドルが人気を集めている。

その数、350万人。SNSを通じ、歌やファッションなどのコンテンツを総計6億人のフォロワーに配信する。

今、その影響力に目を付けた企業がワンホンを使い、世界最大128兆円のネット通販市場を動かし始めた。

年収15億円のワンホンまで登場。「誰でも明日ワンホンになれる」ビジネス戦略で勝ち上がろうとする企業と成功を夢見る女性たちの物語。

NHKホームページより

これも、ネット時代の副業の典型である。

かわいい中国のアイドルたちは普段は大学生だったり、働いていたりしながらネットでアクセス数を跳ねさせ、企業とステルスマーケティングのスポンサー契約をすることで信じられない金額を叩き出す。

前から思っているが中小企業が大上段に社員に「忠誠心を持て」って思っても無理があることに気がつくべきだ。

社長の思いを「理念」という言葉で浸透させれば、奴隷のように働いてくれると思っているのであろうか?
もしくは社長以上に会社のことを考えて、すべての行動をとってくれると思っているのであろうか?

昔から、そんなことをする社員は希少だったと思うが、転職が困難な時代には「見せかけの忠誠心」で取り繕っていただけだろう。

「会社に対する忠誠心を社員に持たせようとする」こと自体が、そもそもナンセンスだ。

採用側の会社と働く人の「利害関係の一致」がない就労は、昔からあり得ないわけで、「理念」とか「気持ち」という、あいまいな言葉でごまかさない方がよいと思う。

つまり、働く人が働いている会社を「必要としない」状態になれば、忠誠心もヘッタクレもないわけだ。

「理念」や「心」だけで社員に必要とされている会社って、それこそ10,000分の1くらいしかないと思う。

あのアップルでさえ、平均時給2,000円の非正規労働者が、賃金値上げのためのデモをする時代である。

あなたは理念で、スティーブ・ジョブスに勝っているのだろうか?

これからの中小企業の社長は、「会社のために働かせる」のではなく、「本人のために働ける」環境整備をしないと、遅かれ早かれ社員の高齢化や退職で事業継承ができない大変な時代がもう訪れていることを、否が応でも知らされることになるだろう。

副職、在宅が当たり前になる時代がすでに始まっている。

(参照:JNEWS.COM)

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